ひじにボール直撃した英明・寿賀弘都 仲間の「打たれんぞ」で強気に
(19日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 香川・英明3―2智弁和歌山)
智弁和歌山の予習は完璧だった。甲子園常連校はブラスバンドの応援も全国区だ。英明の寿賀弘都(3年)はいざ、マウンドに立った時に圧倒されないように「対戦が決まってからユーチューブで曲を聴いて、慣らしてきた」。
効果は抜群。「4番・中堅」で先発したが、途中から投手として出番があるのはいつものこと。この日は同点の七回にその役割がまわってきた。相手の大応援は聞こえたが、2番からの好打者を三者凡退。直後の勝ち越しにつなげた。
予想外のことが起きたのは八回だった。1点を失いなお1死二、三塁、捕手・中浦浩志朗(3年)の送球を利き腕の左ひじにまともに受けてしまった。ベンチに戻り、手当てを受けたあと、元気にマウンドに駆け戻った。
「普段は気持ちが弱い」という左腕を支えてくれたのは、他でもない中浦の言葉だ。自ら誘って英明に進んだ仲。「『おまえが腕を振って投げたボールは誰にも打たれんぞ』と言ってもらって強気になれた」
1死満塁のピンチを背負っても、一ゴロと中飛で同点にさせなかった。
英明にとって、念願の選抜初勝利。それも強豪相手からだ。自信になった?の問いに言った。「少しは」。控えめに笑った。(藤田絢子)
○香川純平監督(英) 前監督の父智彦さんに続き、親子二代での甲子園勝利。「春はまだ勝っていなかったので、どうしても勝ちたかった。よかった」
▼香川勢と和歌山勢は10度目の対戦 香川勢が通算6勝目(和歌山勢4勝)。うち高松商が4勝。智弁和歌山は香川勢と1勝1敗。