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地元っ子集い、鍛えつかんだ光の春 斎藤佑樹さん「地域の誇りでは」

2023年3月22日08時00分

朝日新聞DIGITAL

 ■斎藤佑樹「未来へのメッセージ」 山口・光へ

 第95回記念選抜高校野球大会の出場校で注目している高校の一つが、第5日(22日)に登場する初出場の光(山口)です。

 夏は1993、94年の2回、甲子園の土を踏んでいる県立校です。昨秋の県大会で3位に入り、続く中国大会で準優勝しました。

 選抜大会に臨む18人のメンバー全員が県内の中学校出身です。各地から有力選手が集まる私立の強豪校も魅力的ですが、地元の選手を中心に作り上げられたチームが甲子園に出るということは、地域の方にとっては、ひときわ誇らしく、うれしいことではないでしょうか。

 光は郷土を代表してプレーするという高校野球の魅力の一つを体現しているようにも思います。

 僕自身、生まれ育った群馬の太田高に進学して「地元のみんなと一緒に甲子園に行きたい」という思いはありました。東京の早稲田実への進学を決めた時は、正直なところ、申し訳なさもありました。

 光の宮秋孝史監督(59)は同じ山口の南陽工を率いて2000年と06年に選抜に出場した経験があり、僕が早稲田実の2年生だったころ、その南陽工と練習試合をしたことがあります。

 そんな縁もあり、この冬、学校を訪れました。

 まず驚いたのは、選手たちが使っている道具です。

 芯の部分に虫取り網のようなものがついたバットで、スイングをしているのです。

 「トスしてもらった球がこの網に入れば、芯でとらえたことになるんです」と5番打者の岡本一颯(いっさ)選手。ミート力を上げる狙いがあるのですね。

 ウェートトレーニングの代わりに、両腕と両脚の付け根に加圧バンドを巻いて打撃練習をしたり、ノックを受けたりしていました。

 血流を制限することで疲労時に発生する乳酸が筋肉にたまり、軽いトレーニングでも長時間重い負荷をかけたのと同様な効果が期待できると言われています。

 僕も早大時代、加圧バンドを巻いてランニングをしていたことがあります。疲労回復にも効くそうです。

 練習方法はたくさんあるし、これをやればいい、という正解はないと思いますが、限られた時間の中で光の選手たちが工夫し、ユニークな練習を楽しんでやっている姿が印象的でした。

 もう一つ感心したのが、マネジャーの活動です。

 計7人いる女子マネジャーが、「アップ班」「筋トレ班」「管理班」「データ班」の4班に分かれ、チームをサポートしていました。

 例えば管理班は選手の体重や筋力を測定し、データ班は練習試合など実戦での投手のコースや球速、打者の打球方向などを集計するそうです。

 それも、自チームだけでなく、他チームの分析まで。マネジャーらが話し合ってこの冬から始めたそうで、あるマネジャーは笑顔で言いました。

 「相手投手の初球がどのコースに来やすいかなどの確率を出せたら、少しはチームに貢献できるかなと思うんです」

 チームの勝敗に関わるところに、マネジャーも参加する。やりがいのある役割だと思いますし、このような活動は卒業後にもきっと生きるはずです。

 早稲田実時代、男子マネジャーがいました。試合中にスコアをつけるだけでなく、ノックの補助をしたり、打撃練習のボールをトスしてくれたり。悩んでいる選手の相談相手にもなってくれました。

 3年夏の全国選手権で優勝した時は、一緒に喜びを分かち合ったものです。

 光の初戦の相手は彦根総合(滋賀)です。

 こちらも初出場。変化球が多彩な左腕の野下(のげ)陽祐投手、制球力が高い右腕の勝田新一朗投手らタイプの異なる投手がそろっているようです。

 地元の選手が集まって、工夫を重ねてきた光が甲子園でどんな野球を見せてくれるのか。

 選手、マネジャーあわせて35人の部員が一丸となって戦う姿を楽しみにしています。(斎藤佑樹)

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