No1左腕擁する大阪桐蔭、層厚い仙台育英が軸 追うのは? 選抜
第95回記念選抜高校野球大会が18日、開幕する。
記念大会のため例年より4校多い36校が阪神甲子園球場に集う。春の頂に近いのはどこか。
前回王者で、昨秋の明治神宮大会を2連覇した大阪桐蔭がやはり、優勝候補の筆頭だ。
エース前田悠伍は世代ナンバーワンの呼び声が高いサウスポー。最速148キロを誇る直球に、チェンジアップやスライダーなどの変化球の精度も高校生離れしている。前回大会は決勝の先発を含め計13回を投げて自責点は0。経験も豊富だ。
打線は1大会最多本塁打(11本)の大会新記録を樹立した前チームに比べれば小粒だが、昨秋17打点の2年生徳丸快晴、16打点の南川幸輝らを中心に切れ目がない。
強いて課題を挙げるなら、前チームからの主力は前田のみで、大舞台を経験した選手が少ない点か。
主将も務める前田が昨秋、計88回を投げたのに対し、186センチ右腕の南恒誠は14回、他の投手は1桁のイニング数にとどまった。
大会を通じ前田の負担をどこまで減らせるかが、2連覇への一つのポイントになるだろう。
大阪桐蔭とともに優勝争いの軸となるのは、第55回大会(1983年)の池田(徳島)以来、40年ぶり5校目の夏春連覇に挑む仙台育英だ。東北勢として初優勝した昨夏の全国選手権のベンチ入りメンバーのうち7人が残った。
投手層の厚みは大阪桐蔭をしのぐ。高橋煌稀(こうき)、湯田統真の両右腕と左腕仁田陽翔(はると)はいずれも昨夏の日本一に貢献し、最速は145キロを超える。
エースナンバーを背負う高橋は制球力に優れ、昨秋7試合の登板で防御率1点台。湯田はスライダーがよく、東北大会準々決勝では無四死球で完封した。仁田は昨秋、21回余りを投げて27三振を奪った。
11試合でチーム打率2割7分9厘、計62得点と打線はやや迫力に欠けるものの、投手陣の大崩れは予想しにくいので、着実に得点し勝機を広げたい。
2強に続くのは、広陵(広島)、報徳学園(兵庫)の2校だ。
大阪桐蔭、仙台育英と反対のブロックに入った広陵は出場校中屈指の強力打線を誇る。昨秋の1試合平均得点は7・5。世代を代表する強打者・真鍋慧(けいた)を中心に、昨秋に真鍋と並ぶ4本塁打を放った只石貫太、前チームから主力の田上(たのうえ)夏衣(かい)らが並ぶ。
投手陣は2年生エースの右腕高尾響、3年生左腕、倉重聡の二枚看板。
明治神宮大会決勝で2年続けて大阪桐蔭に敗れており、雪辱に燃える。
報徳学園も攻守にレベルが高い。昨秋の近畿大会決勝では0―1と大阪桐蔭を苦しめた。
捕手として評価の高い主将の堀柊那(しゅうな)がチームを束ね、投手陣はエース右腕の盛田智矢を筆頭に安定感がある。3番堀、近畿大会で3試合連続本塁打を放った4番石野蓮授(れんじゅ)を中心とした打線は、機動力も使え、昨秋の12試合で計95得点した。
初戦の相手健大高崎(群馬)をはじめ、東海王者の東邦(愛知)、仙台育英など実力校がひしめくゾーンを突破して勢いに乗れば、21年ぶりの頂点も見えてくる。
3季連続の甲子園となる関東王者の山梨学院は、2019年春を最後に甲子園での勝利から遠ざかるが、地力はある。好カードとなった東北(宮城)との開幕試合に勝てば、弾みがつきそうだ。
190センチの本格派右腕・日當(ひなた)直喜を中心に秋の東京都大会を制した東海大菅生、出場校中トップのチーム打率4割7厘を誇る沖縄尚学、打力の評判が高い履正社(大阪)なども上位を狙う力はある。
練習環境などに制約を受けるなか、夏春連続出場を果たした能代松陽(秋田)、社(やしろ)(兵庫)、高松商(香川)など公立勢の戦いぶりにも期待したい。(佐藤祐生)