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「自分が出塁しないと」海星・田中朔太郎選手

2023年3月17日10時00分

朝日新聞DIGITAL

 昨秋、沖縄であった九州大会の準々決勝。選抜出場が濃厚となる4強入りをかけた西日本短大付(福岡)との一戦は、海星にとって1年前の無念を晴らす「抜群のゲーム」(加藤慶二監督)だった。

 2―2で迎えた九回表。併殺で2死と追い込まれた後、9番打者が二塁打を放った。打席には田中朔太郎選手(2年)。「絶対にかえしてやる」。バットを強く握りしめた。

 2021年秋の九州大会。長崎1位で準々決勝に挑んだ海星は有田工(佐賀2位)に完封負けした。相手を上回る9安打を放ち、ほぼ毎回得点圏に走者を進めた。奪った三振は11。それでも勝てなかった。4強入りして選抜に出場したのは長崎2位の長崎日大。県大会の決勝で倒したライバルだった。

 当時、中学3年生だった田中選手はその試合を知らない。だが、1年生でスタメン入りしていた田川一心主将(3年)らから繰り返し聞かされた。どんなに実力で勝っていても、負けることがある。一戦必勝の高校野球は一瞬の隙や油断が命取りになる、と。

 1年後に巡ってきた西日本短大付との大事な戦いで、あの悔しい思いをしたくない。2ボールからの3球目。狙い澄まして振り抜いた打球は右中間を抜く決勝三塁打に。選抜への切符を引き寄せた。

 北九州市出身。中学時代の監督の勧めで海星へと進んだ。寮生活の苦労はあるが「自分に厳しくできる環境が整っていて充実している」と話す。全体練習を終えて寮に戻ってからも、素振りや体幹トレーニング、ストレッチを欠かさず、「自分と向き合う時間」を大切にしてきた。

 昨夏の長崎大会は1年生で唯一ベンチ入りした。だが甲子園ではベンチ外に。悔しさをかみしめながら、16強へと突き進む先輩たちをアルプス席で応援した。

 秋からは1番打者を任されている。50メートル6秒2の俊足が武器だ。まず塁に出る。そして足でかき回す。そのための下半身強化に冬場は励んできた。「おれが出ないと負ける」。そう自分に言い聞かせている。

 父はオートレーサー。野球を教えてくれた元球児の兄も今年オートレーサーの試験に合格した。家族が見守る晴れ舞台。先陣を切って得点機をつくる。(三沢敦)

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