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「チャンスで1本を」長崎日大・平岩悠生選手

2023年3月16日10時00分

朝日新聞DIGITAL

 2月下旬の週末。長崎日大グラウンドで練習に励む平岩悠生(ゆうき)選手(3年)の表情はいま一つだった。

 「実戦練習で思うようなバッティングができていない。打てないんです」。そう言って下を向いた。

 秋の公式戦から4番を任されている。選抜の切符を引き寄せた九州大会では準々決勝と決勝でそれぞれ2安打と活躍した。あのときの感覚が戻らないという。

 雲仙市出身。5歳上の兄の影響を受け、小学1年でソフトボールを始めた。

 5年生の時、長崎ゆかりのプロ野球選手が講師を務める野球教室に参加した。キャッチボールの相手をしてくれたのは長崎日大OBで、広島東洋カープのエース大瀬良大地投手。「球の伸びが全然違う」と驚いた。

 野球を教えてくれた兄も長崎日大に進学してエースに。気がつくと自分も同じ進路をたどっていた。

 ただ、主砲を担うまでの道のりはけっして平坦(へいたん)ではなかった。昨年6月、守備練習で左足首にけがを負った。一塁の守備から二塁のベースカバーに入ろうとしてひねったのだ。「めちゃくちゃ痛かった」。我慢して練習を続けたが、次第に腫れがひどくなった。次の日、病院に行くと、じん帯の損傷と診断された。

 1カ月余り、全体練習から遠ざかった。NHK杯も夏の長崎大会もベンチには入れず、先輩たちのサポートに回った。「このまま治らなかったらどうしよう」。暗い気持ちで上半身のトレーニングに励む日々が続いた。

 約30年ぶりの初戦突破をめざし、先輩たちが挑んだ昨春の選抜を鮮明に覚えている。敗れたとはいえ、全力を出し切った姿がまぶしかった。「自分も必ずこの舞台に」。応援で駆けつけたアルプス席で胸に誓った。

 対外試合が解禁された今月の初め。福岡の強豪筑陽学園との練習試合で高校通算6本目となる本塁打を右越えに放ち、手応えをつかんだ。チームも6―2で勝利を飾り、甲子園に向けて弾みをつけた。

 龍谷大平安(京都)との初戦まであとわずか。調子は徐々にあがっている。大観衆に包まれた夢舞台でチャンスは必ず巡ってくるはずだ。「その瞬間を逃したくない」と平岩選手。

 けがを乗り越えここまで来た自分のために。支えてくれた仲間や家族のために。会心の一打で悲願の「1勝」を呼び込みたい。(三沢敦)

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