「2校で上位めざす」 県勢初のダブル出場 長崎日大と海星が選抜へ
3月18日に開幕する第95回記念選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会が27日にあり、長崎勢では昨秋の九州大会で準優勝した長崎日大(諫早市)と、4強入りした海星(長崎市)がともに甲子園への切符をつかんだ。「ダブル出場」は県史上初。待ちに待った朗報に両校の選手たちは「2校で上位をめざし、長崎の実力をみせつけたい」と誓った。
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海星ではこの日、51人の部員が会議室に集まり、オンラインで発表の様子を見守った。張り詰めた空気が一気に緩んだのは、中継が始まって1時間ほど経ったころだった。
「海星高校」。待ちにまった名前が呼ばれると、選手たちは小さくガッツポーズをしたり、隣の選手と握手をしたりして喜びを分かち合った。
主将の田川一心君(2年)は、「目標は選抜に出場することではなく、選抜で勝つこと。去年の先輩方の記録を超える3勝以上を目指して、どの高校よりも熱く練習に臨んでいこう」と、部員らに呼びかけた。
昨夏の先輩たちの活躍を間近で見てきた現チーム。加藤慶二監督も、海星の強みの一つに、「甲子園を知っている選手が多くいること」を挙げる。
昨夏、ベンチから甲子園を見ていたエースの吉田翔君(2年)は、「先輩たちでさえ、苦しい戦いの中で自分のプレーができていなかった」と振り返る。「自分たちのプレーができるよう、練習して選抜に挑んでいきたい」と意気込んだ。
昨秋の九州大会で吉田君と息の合った継投を見せた高野颯波(そな)君(同)は、「全国のレベルに自分がどれだけ通用するのか、試してみたい。自分も先輩たちのように甲子園で活躍したい」と力を込めた。
今回の選抜大会は県史上、初めてのダブル出場となる。
田川君は26日、長崎日大の主将・平尾大和君(同)と通信アプリのLINE(ライン)で「長崎を二人で引っ張っていけるように。決勝で長崎対決をできるように頑張ろう」とメッセージを送り、誓い合ったという。「決勝で日大と当たれるようにぼくたちも頑張っていきたい」(岡田真実)
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長崎日大では野球部員46人がビジュアルホールに集まり、発表の様子をオンラインで見守った。校名が告げられたのは午後4時過ぎ。「NAGASAKI NIHON UNIV」と書かれた応援バナーを全員が掲げて喜びをかみしめた。
池内一郎校長から「甲子園は球児を大きく成長させる最高の舞台。よく学び、よく成長し、大きな感動をもたらしてください」と祝福された後、選手たちは1キロほど離れたグラウンドへと移動。報道陣らの取材や写真撮影に応じた。
主将の平尾大和君(2年)は「去年の選考会よりも緊張しませんでした」。
1年前のこの日は選ばれるかどうか不安でいっぱいだったという。判断材料となる九州大会で4強入りしたものの準決勝で手痛いコールド負けを喫したからだ。だが、昨秋の九州大会は決勝で沖縄尚学に競り負けたものの準優勝。落ち着いた気持ちで選考会に臨むことができたという。
1年生でスタメン入りした昨春の選抜は初戦で近江(滋賀)と対戦。九回2死まで追い込みながら追いつかれ、延長十三回タイブレークの末に涙をのんだ。
「あの悔しさは忘れられない。まずは初戦を突破して先輩たちを超えたい。ベスト4以上をめざします」と平尾君。失策の多さなど九州大会で浮かび上がった課題を克服するため、厳しい練習に打ち込んできたという。
右肩のけがを克服した投手の広田樹大君(同)は「全国の強豪を相手にどれだけ投げられるか試してみたい。夏につながる経験を積めれば」と意気込む。中軸を担う捕手の豊田喜一君(同)も「全国のレベルの高いピッチャーと対戦できるのが楽しみ。守備では無駄な進塁を防いで強力打線を抑えこみたい」と前を向いた。(三沢敦)