「あと1球」で甲子園を逃した昨夏が糧 氷見が30年ぶり選抜で歓喜
第95回記念選抜高校野球大会へ21世紀枠で出場が決まった氷見(富山)は30年ぶりの選抜となる。昨夏、あと1死で甲子園を逃した悔しさから一転、選手たちは喜びに浸った。
名前が呼ばれた瞬間、校内でオンラインで発表を見守った選手たちからは「おっ」と声が漏れ、握手をしたり、胸をなで下ろしたりする姿があった。
新チームで臨んだ秋の富山県大会では30年ぶりに優勝。北信越地区大会でも1勝を挙げた。
■2死2ストライクからひっくり返された
原動力となったのは、昨夏の悔しさだ。
4連覇中だった高岡商との決勝。八回に勝ち越し、九回2死2ストライクまでリードしていたが、そこからひっくり返され、57年ぶりの夏の甲子園出場を逃した。
大沢祥吾主将(2年)は「どのチームよりも悔しい思いでスタートし、3年生のためにもという思いでやってきた」と語る。
選手17人のうち16人が地元出身。差し入れをもらったり、町で声をかけられたりすることも多く、「期待されているのを実感する。市民の方々のためにも頑張ろうという思いは強い」(大沢主将)。
能登半島の根元にある人口4万人余りの港町。冬の味覚・寒ブリで有名なほか、昨年亡くなった漫画家・藤子不二雄(A)さんの故郷としても知られる。(竹田和博)