一回は3球で三者凡退 「完封ペース」覆した英明打線、猛打の伏線は
(18日、明治神宮野球大会・高校の部1回戦 香川・英明10―7山梨学院)
鮮やかな逆転劇だった。
0―4の六回。相手投手に2安打に封じられていた英明打線が目を覚ました。
先頭の代打高木司と1番鈴木昊(そら)の連打で無死一、二塁に。犠打で1死二、三塁としてから3番百々(どど)愛輝が左中間二塁打で2者を迎え入れ、2点差に迫る。
さらに、単打、四球で2死満塁とし、7番尾中亮太が左打席に入った。
「流れが来ている。つないでいったら良い結果になる」
気負いはなかった。3球目、真ん中に入ってきたスライダーを右中間にはじき返し、走者一掃の逆転三塁打とした。
その後も打線の勢いは止まらない。計14安打で10得点した。
後半の猛打には伏線があった。
英明の打者たちは、試合序盤から積極的に第1ストライクを振っていった。
香川純平監督(37)は、「神宮の舞台に緊張して何もできなくなってしまうのが嫌だったので」と狙いを説明する。
一回の攻撃は、飛球、飛球、内野ゴロでたった3球で終わった。五回まで2安打で、山梨学院のエース林謙吾の投球数は47と、完封を許すようなペースだった。
一見、淡泊に見える攻撃だが、「初球から振ってくる打線だ」と林に警戒感を強めさせた。五回終了時のグラウンド整備も挟んだ六回は林の投球が慎重になった印象がある。
英明打線はそこを逃さず、ストライクを取りに来た球を次々ととらえた。
山梨学院は、関東大会の全4試合を計6失点で勝ち上がったチームだ。
守りに自信を持つ強豪を打ち崩しての大会初勝利に、「きちんと攻撃していけばチャンスはある」と香川監督。
準々決勝は北信越王者の北陸(福井)と対戦する。(安藤仙一朗)