「レベルの高さ痛感」 東邦の青年監督、初の全国は大阪桐蔭に完敗
(18日、明治神宮野球大会・高校の部1回戦 大阪桐蔭9―1愛知・東邦)
監督として初めての全国大会は、ほろ苦い結果になった。
「大阪桐蔭さんのレベルの高さを痛感した。1球のミスにつけ込み、攻め込んでくる力が高い」
東邦の山田祐輔監督(32)は、さばさばした表情で振り返った。
最速149キロのエース右腕・宮国凌空(りく)(2年)、2019年の選抜大会を制した時のエースで3番の石川昂弥(たかや)(現中日)の弟で一塁手の瑛貴(2年)らを擁し、秋の東海大会を制した。
大阪桐蔭との開幕試合は、屈指の好カードと注目された。
序盤は互角の勝負だった。先発・宮国は三回に1点を先制されたが、その裏、1番・中村騎士(ないと)(2年)の左越え本塁打ですぐに追いついた。
世代屈指の好左腕、大阪桐蔭・前田悠伍(2年)の高めの速球を見事にとらえた。
だが、直後の四回に暗転する。
宮国が先頭打者を追い込みながら「ワンバウンドにしようとした」という変化球が高めに浮き、右越え二塁打を浴びる。
1死後、連続長打に3連続内野安打と打ち込まれた。打ち取った当たりでも内野手がグラブに当ててアウトにできないなど不運も重なった。
山田監督はベンチから伝令を送ったが、相手の勢いを止められなかった。
この回、計5失点。大勢は決した。
打線も前田から8安打を放ったものの、要所を締められた。
「点を取られてすぐに取り返すのが大阪桐蔭さん。あそこを最少失点でいけたら(勝負は)分からなかった。気持ちを切らさずにいかないと」
山田監督はそう悔やんだ。
山田監督は東邦OB。3年夏に主将として2008年の第90回全国選手権記念大会に出場した。
1回戦の北海(南北海道)戦で、史上3人目となる初球先頭打者本塁打を放つなど4安打5打点と活躍。
1、2回戦を勝ち進み、3回戦で敗れた相手がこの大会を制する大阪桐蔭だった。
立大へ進学し、16年から東邦のコーチを務め、20年春に森田泰弘・前監督(63)の後を継いで就任した。
今夏の愛知大会決勝で敗れるなど、就任後、甲子園には手が届いていなかった。
だが、今秋は愛知県大会、東海大会でともに頂点に立ち、来春の選抜大会出場は確実視されている。
「全国のレベルの高い野球を感じられたのはよかったが、愛知や東海とは違った環境で、対応できないといけないと感じた。ここぞでいいプレーが出るように練習していきたい」
東邦は選抜優勝が5度を数える。
「春の東邦」の復権を見据え、青年監督は雪辱を誓っていた。(編集委員・稲崎航一)