二松学舎大付の1年生4番が大会3発目 帝京に快勝し選抜大会へ前進
(12日、秋季東京都高校野球大会準決勝、二松学舎大付8―3帝京)
四回2死、二松学舎大付の片井海斗は、タイミングを外そうと相手投手が投げてきたカーブを、しっかり引きつけてとらえた。
「変化球が多い投手と分かっていたんで。浮いた球を一発でとらえることができた。真芯を食っていたので、(打球が)飛んでくれた」
1年生4番はにっこり笑った。
一、二回に4点を先行したが、三回に帝京に1点を返された。四回、簡単に2死を奪われた後の打席だった。
「三者凡退で終わりたくない。一発を狙ったわけではなく、塁に出ようという気持ちだった」
今夏の第104回全国選手権大会でも4番を打った。
「すごい場所だった。スタンドが大きくて、グラウンドに入ると押されるような感じ」
1回戦は緊張もあって無安打だったが、2回戦は本塁打と二塁打を放って2打点。大阪桐蔭に敗れた3回戦でも1安打を放った。
「すごい楽しかった。もう一度、甲子園で試合がしたい。そう思える場所だった」
来春の第95回選抜大会につながる秋季都大会。準々決勝まで2本塁打を放って、チームを引っ張ってきた。
「甲子園を経験し、余裕が出てきた」
右打席での落ち着きが、元来の打力をいっそう引き出している。
「レフトばかりでなく、広い範囲に打とうとしている。だから緩いカーブもうまくとらえられているんだと思う」
市原勝人監督は、そう目を細める。
片井本人は「強く振る」ことを意識しているという。
その一方で「常にセンター返しを心がけている。そうすると、手首が勝手にやわらかくなるんです」と自己分析する。
八回は無死二塁から中堅左へダメ押しの二塁打を放ち、この試合の3打点目を挙げた。
身長175センチ、体重90キロ。この日の一発で高校通算本塁打は16本(うち公式戦5本)になった。
「本塁打より、チャンスに強いバッターになりたい。とにかく、また甲子園に行きたい。明日(決勝)も勝ちたい」
選抜出場を大きく引き寄せるため、決勝でも打線を引っ張る。(安藤嘉浩)