広陵が決勝進出 悩める主将を救った母の助言 秋季中国地区高校野球
第139回秋季中国地区高校野球大会(中国地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)は5日、広島県尾道市のぶんちゃんしまなみ球場で準決勝2試合があり、広陵(広島1位)が鳥取城北(鳥取1位)を、光(山口3位)が高川学園(同1位)を破って決勝進出を決めた。決勝は6日午前11時から同球場である。
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悩める主将を救ったのは、母親の言葉だった。
八回裏、広陵は同点に追いつき、なおも1死三塁の好機。4番の小林隼翔(はやか)主将(2年)は初球の外角直球を右中間に運んだ。勝ち越しの適時二塁打となり、決勝点となった。2年連続の選抜大会出場を引き寄せた。
中国地区大会の2試合で無安打と、調子を落としていた小林君。前夜、岡山県で暮らす母親の優さん(43)と電話で話した。広陵野球部の寮生活では、携帯電話の使用は禁止。中学まで一人で育ててくれた優さんに、寮の公衆電話からかけるのが試合前の恒例だ。
「打てない。どうしよう」。落ち込む息子に、優さんは「バッティングは水ものよ。ゆっくりタイミングをとって、長くボールを見なさい」。ソフトボール経験がある優さんならではの励ましを受けたという。「母の言葉で、吹っ切れました」。この日は2安打2打点と奮起した。中井哲之監督も「芯の強さを感じた」と評した。
今秋の目標は明治神宮大会優勝だ。「どのチームにも負けは許されない。それぐらいの覚悟でやっている」。復調の兆しをみせる主将が強豪を引っ張る。(福冨旅史)