専大松戸 初優勝逃す 秋季関東高校野球
第75回秋季関東地区高校野球大会は30日、さいたま市の県営大宮公園野球場で決勝があった。県代表の専大松戸(千葉1位)は山梨学院(山梨1位)に3―9で敗れ、初優勝はならなかったが、来春の選抜大会への出場をほぼ確実にした。
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劣勢に立つ雰囲気を変えたかった。
制球力のある相手投手の好投に、五回まで毎回三者凡退。六回の先頭打者として打席に入った広川陽大(ひなた)選手(2年)も不調で、「チームの足を引っ張っている」と感じていた。
五回終了時、持丸修一監督の指示は普段通りだった。「考える必要はない。いつも通りに振れ」。広川選手は調子が良いとき、ほどよく力が抜けたバッティングをしていたことを思い出した。「チームのために絶対一本打つ」。リラックスして構えた。
3球で追い込まれた。食らいついた低めのチェンジアップ。「レフト前に落ちる」。そう確信して走り出した。ノーヒットノーランに迫る勢いを断ち、球場は小さくざわめいた。宮尾日向(ひゅうが)選手(2年)もヒットを放ち、八回、3点差に詰め寄る粘りにつなげた。
小学生だった2013年夏、ソフトバンクの高橋礼投手がいた専大松戸の試合を見た。千葉大会準決勝で延長十三回の末にサヨナラ負けしたが、活躍する選手たちの姿に「絶対ここで野球をやりたい」と憧れた。
167センチと小柄な身長でも、低めの弾道で強い打球を逆方向に放ち、出塁に貢献するのが強みだ。「自分の代で活躍したい」。持ち味を存分に発揮する1年はまだ始まったばかりだ。(宮坂奈津)