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51年前の準優勝メンバーはどう見た 宗像治さん

2022年9月29日11時00分

朝日新聞DIGITAL

 第104回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高野連主催、毎日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)で福島県勢として51年ぶりの4強進出を果たした聖光学院。大会中、運営本部委員として聖光学院のお世話をした宗像治さん(69)は、51年前の第53回大会で磐城の「2番中堅手」として準優勝に貢献した。今回の快挙をどのように見守っていたのか聞いた。

 ――磐城以来、聖光学院が県勢51年ぶりの準決勝進出を果たしました。

 「私たちが51年前に行ったのが信じられない気持ちでした。自分たちは準決勝、さらに上の決勝に行ったんだと思うと、すごかったんだなと思いました」

 ――当時の磐城と今年の聖光学院の活躍を比べていかがでしたか。

 「あの時は先のことを考えず、監督が指示することを忠実にやった結果が準優勝でした。今年の聖光学院は来るべくして来たと感じています。今までの経験の蓄積があり、4強進出は当然と思いました。むしろ、ちょっと遅いくらいでした」

 ――今年の聖光学院はどのように見ていましたか。

 「選抜大会の選考委員会として、去年の東北大会から見てきました。最初は『打てず、力がないな』と思いましたが、バッテリーは安定していました。選抜大会で見ると、打撃力も上がりたくましくなった」

 「その後、春の東北大会で優勝し、試合を経るごとにどんどんたくましくなっていきました。福島大会を見ても、今年の聖光学院なら甲子園での4強以上もあり得ると思っていました」

 ――甲子園での戦いはどう見ていましたか。

 「投手を中心に守り、少ないチャンスを確実に生かしていました」

 「当時の私と重なることも多々ありました。当時は初戦が日大一、聖光学院は日大三でどちらも対戦相手が東京でした。2回戦では私たちが決勝で敗れた神奈川代表と対戦。福島県勢は磐城が桐蔭学園に負けて以来神奈川代表に8連敗していたので、その流れにピリオドを打ってほしいと思って見ていました」

 ――大会中は聖光学院の先導などを務めました。試合前後、選手たちはどんな様子でしたか。

 「室内練習場で選手たちに毎回、私の高校時代の経験や失敗の話をしました。3回戦の前には『ベスト4以上にいくと、見える世界が変わるよ』と。聖光学院は何度もベスト8ではね返されていたので、何とか越えてもらいたいという気持ちからです」

 ――初めてベスト4に入れた要因は。

 「甲子園で勝ち上がる高校を見ていると、複数の投手を育てています。今年の聖光学院は大エースの佐山未来投手だけでなく、小林剛介投手が成長したことが大きかったと思います。攻撃力もありました。1~9番打者まで、どこからでも得点できる打線でした」

 ――準決勝では仙台育英(宮城)に大差で敗れました。決勝進出には何が足りなかったのでしょうか。

 「準々決勝までは無欲で戦っていたと思います。ただ仙台育英とは練習試合をしているので、少し隙ができたのかもしれません。点差は開きましたが、力の差はほとんどなかった。今年のようなチームを作っていけば、甲子園の舞台でまた勝ち上がれると思います」

 ――仙台育英が甲子園で東北初の優勝をしました。あと一歩で逃した身としてどう見ていましたか。

 「いずれは抜かされると思っていましたし、抜かしてもらわないといけないと思っていました。ついにこの時が来たかという感じです。『我々の時代はもうこれで終わったな』と感じました」

 ――今夏は仙台育英と聖光学院がベスト4に残りました。東北の高校が躍進した要因はどう考えますか。

 「2000年代に入ると、東北の高校が甲子園で勝てるようになり、ベスト8に残ることは珍しくなくなりました。一番大きいのは東北福祉大の存在です。1980年代に大阪出身の伊藤義博さん(故人)が監督に就任し、関西出身の選手と東北の選手を融合させました。その教え子たちが東北各地で監督となり、伊藤さんと同じように関西と東北の選手を融合して強くしてきたと思います」

 ――最後に福島県内の高校球児たちにメッセージをお願いします。

 「聖光学院が甲子園で4強入りし、ほかの高校にとっても身近に全国トップレベルのチームがあることは刺激になると思います。隣県には優勝した仙台育英もいます。ぜひ切磋琢磨(せっさたくま)してほしいと思います」

 「陸上の(男子)100メートル走では10秒の壁を破るのに時間が掛かりましたが、1人が破ると、9秒台が一気に誕生しました。高校野球も同じです。東北勢の優勝には時間が掛かりましたが、仙台育英が扉をこじ開けてくれたので、福島県勢にも続いてほしいですね」(聞き手・滝口信之)

     ◇

 むなかた・おさむ 1953年7月生まれ。71年に磐城の2番中堅手として夏の甲子園に出場し、準優勝。早大進学後は準硬式野球部で活躍。県立高校社会科の教員となってからは、安積、棚倉の野球部監督を務め、福島北では88年の選抜大会出場に導く。2004年から10年間、福島県高野連理事長。13年からは甲子園での運営本部委員を務める。20年からは日本高野連評議員。

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