東北が12年ぶり優勝 仙台育英下す 利府は3位 秋季県高校野球
第75回秋季東北地区高校野球宮城県大会の決勝が26日、仙台市民球場であり、東北が仙台育英を破って12年ぶり33回目の優勝を果たした。仙台育英の連覇は10で途切れた。3位決定戦では利府が仙台三を下し、東北大会出場を決めた。
決勝は昨年と同じ顔合わせとなった。東北は三回、鳥塚の適時打で1点を先制すると、八回の山田の適時打でさらに1点を追加した。投げてはハッブス、秋本、根岸の継投で1失点に抑え、投手戦を制した。仙台育英は九回、下山の適時打で1点を返して粘ったが、及ばなかった。
3位決定戦では、利府が一回、万城目の適時二塁打などで4点を挙げて先制、五回には、亀谷の適時三塁打などで突き放した。仙台三は三回と九回に3点ずつ奪い、いずれも1点差に迫ったが、最後は力尽きた。
上位3チームは来春の選抜大会出場をかけ、10月10日に山形県で開幕する東北大会に出場する。
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東北の先発はエースのハッブス大起(たいき)君(2年)。マウンドに上がるとき意識したのは、とにかく楽しむこと、そして、仲間を信じることだ。
1年の時から140キロ台の速球を投げ、強気な投球が持ち味だが、「俺が抑える」という気持ちが空回りすることも多かった。
意識が変わったのはこの夏、佐藤洋監督が就任してからだ。試合形式の練習では、ピンチの場面で周りへの声掛けが減り、佐藤監督から「周りが見えているか?」と声をかけられた。
抑えようとして、自分の投球のことばかりを考えていたと気づき、三振を狙うだけでなく、仲間を信じて打たせて取る投球を意識するようになった。
この日は、チーム全体で「どんな結果でも全力で楽しむ」ことを決め、試合に臨んだ。
六回2死三塁、一打同点の場面で、守備につく仲間から「楽しめ!」と声が飛んだ。内角に直球を投げ込んで一塁にゴロを打たせてしのぎ、無失点で秋本羚冴(りょうご)君(2年)にマウンドを託した。
優勝後のインタビューで、「とても楽しかった」と笑顔で振り返ったハッブス君。東北大会に向け、「全員で一致団結してセンバツをめざしたい」と意気込んだ。(武井風花)