最後は気迫で銅メダル 馬淵監督「なんとか面目は保てた」U18W杯
「侍魂」と書かれた日の丸のハチマキを巻いたムードメーカーの鈴木斗偉(とうい)(山梨学院)が試合前の円陣で、声を張り上げた。「日本の高校球児の代表として誇りを持って戦おう。明るいニュースを日本に届けよう」
U18W杯3位決定戦。さっそく、思いがつながった。一回。1死から連打で一、三塁とすると、4番内海優太(広島・広陵)が中前へはじき返す。決勝ラウンド初戦で0―8と完敗していた韓国から先制点をもぎとった。
二回も快音が連なる。4安打に四球が絡み、打者10人の攻撃で一挙5得点。左中間に2点適時打を放った松尾汐恩(しおん)(大阪桐蔭)は「絶対に勝ってやる、という気持ちをぶつけました」。最速160キロ超の右腕を攻略した。
打者の気迫は投手陣にも伝わる。生盛亜勇太(あゆた)(沖縄・興南)から川原嗣貴(しき)(大阪桐蔭)への継投で2失点でしのぎ、6―2で逃げ切った。
2大会ぶりの銅メダルを獲得し、馬淵史郎監督はホッと一息ついた。「なんとか面目は保てた。メダルがなかったら、もう帰れんと思ってやっていたので」
ただ、満足はしていられない。
優勝した米国は投打にレベルが高く、準優勝の台湾や4位の韓国の選手のパワー、球威にも目を見張るものがあった。いずれのチームも長期の合宿を重ね、仕上げてきたという。
日本も8月下旬からの国内合宿で調整したが、夏の甲子園大会が終わったばかりで万全の状態で臨めなかった選手もいた。木製バットへの対応や細かなサインプレーなど、改めて課題は浮き彫りになった。
主将の山田陽翔(滋賀・近江)は言った。「銅メダルは取れたけど、世界一になれなかった悔しさはある。この経験を次の世代にしっかり引き継いでいきたい」。10日間で9試合の過密日程で、最終日はダブルヘッダーも経験。今後につなげたい、フロリダの秋だった。(フロリダ州サラソタ=山口裕起)