白河市民も興奮「白河関越え」 仙台育英優勝で優勝旗
ついに「白河関越え」成る! 第104回全国高校野球選手権大会で、仙台育英(宮城)が初の全国制覇を成し遂げ、深紅の優勝旗を初めて東北地方にもたらした。その東北の玄関口「白河の関」があった白河関跡(福島県白河市)では、地元住民ら約80人が、悲願成就の瞬間を見守った。
PVは白河市が企画した。2018年に金足農(秋田)が決勝進出した時も近くの屋内施設で実施したことはあったが、実際に白河関跡で行ったのは初めてという。
80インチの大型テレビの前に集まった人たちは、仙台育英が守備でアウトをとるたびにスクールカラーの黄色と青のメガホンをたたき、七回の満塁本塁打など得点の場面では、いすから飛び上がって喜びを表した。
優勝が決まった瞬間、泉崎村の高校3年生、関根愛心さん(18)は友人と抱き合って喜んだ。ベンチ入りメンバーの湯田統真君(2年)と幼なじみという。「東北のチームが甲子園で優勝するなんて夢みたい。プレッシャーもあるなかで最後まで伸び伸びとプレーし優勝した仙台育英は本当にすごい。ありがとうと言いたい」
白河市の緑川喜文さん(71)は、1971年の第53回大会で磐城が準優勝して以来、東北のチームが優勝することをずっと夢見てきたという。「白河関で優勝旗の白河越え実現の瞬間に立ち会えて感無量だ。同じ東北人として誇りに思う」と話した。孫の航君(11)は涙を浮かべ、「感動した。今はサッカーをやっているけど、野球にも挑戦してみたい」と話した。
市によると「白河関」があったのは、市南部の丘陵地。栃木県境から約3キロの位置にあり、奈良時代から平安時代頃にかけて、人や物資の往来を取り締まる関所だった。律令制の衰退で機能が失われて以降も、東北地方に思いをはせる都の文化人たちのあこがれの地の一つとなり、和歌でも盛んに詠まれた。江戸時代には俳人・松尾芭蕉も「奥の細道」の旅程で訪れている。(斎藤徹)