聖光学院佐山投手、自分から伝えたい「ありがとう」 山浅捕手との絆
(20日、第104回全国高校野球選手権大会準決勝 聖光学院4―18仙台育英)
「現役でバッテリーを組むのは最後だな。今までありがとう」。六回裏、聖光学院のベンチ。捕手の山浅龍之介(3年)にこう言葉を掛けられ、エース佐山未来(3年)は思わず涙があふれた。1週間500球の球数制限まであと12球に迫り、佐山に代打が送られた直後のことだった。
2人は1年生からバッテリーを組んできた。「サインに首を振ることはほとんどない」と佐山が話せば、山浅も「佐山が投げたいボールはだいたい分かる」と互いに信頼を寄せる仲だ。
佐山は14日の2回戦から準々決勝までの3試合で358球を投げ、この日は球数制限から最大142球しか投げられなかった。佐山の疲労も考慮し、小林剛介(3年)が先発。斎藤智也監督は中盤まで小林剛でいき、佐山に継投するゲームプランを描いていた。
しかし、小林剛が序盤から相手打線につかまり、佐山がマウンドに上がったのは二回。登板直後から直球は走らず、変化球も高めに浮き、相手打線の勢いを止められなかった。
「流れを止めきれず、申し訳ない。支えてきてくれた人には感謝しかない」と佐山。試合直後は敗れた悔しさから涙が止まらず、山浅に声を掛けることができなかったが、「ありがとうと伝えたい」と話した。(滝口信之)