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昨秋のコールド負けが原点 日大三、監督もチームも一からやり直した

2022年8月19日08時00分

朝日新聞DIGITAL

 ■第104回全国高校野球選手権大会

 原点は「コールド負け」だった。

 日大三は昨秋の都大会準々決勝で、昨夏王者の東海大菅生に1点差で競り勝った。「よし、これで甲子園だ」。そんなムードで迎えた準決勝、国学院久我山に大敗する。スコアは3―14(五回コールド)。

 「監督もチームも全部だめ。一からやり直そう」。小倉全由監督のかけ声で、選手たちの目の色は変わった。

 夏の西東京大会は、準決勝までは7点以上の差をつけて勝ち上がる。決勝では東海大菅生に6―2で勝利し、4年ぶりの甲子園出場を決めた。

 誰もが名を挙げるような優勝候補筆頭だったわけではない。点差はついたが、苦しい試合も少なくなかった。しかし、だからこそ、チームは試合を重ねるごとに力を増していった。

 今年の3年生にとっては最初で最後の甲子園だった。たった1試合で終わったが、相手の聖光学院(福島)も合わせて失策0、四死球わずか3の好ゲーム。これまでのどの試合よりも力を出し切った。

 試合は日大三ペースだった。初回に先取点を奪い、一時は2点リード。だが相手の好守に追撃を阻まれ、逆転負けを喫す。

 この日は甲子園名物「浜風」が強く吹いていた。打球を右翼から左翼へ押し流す風だ。

 五回の相手の逆転2点本塁打、八回のソロ本塁打は、どちらも左翼への打球が大きく伸びた。逆に七回の日大三の好機では、富塚隼介(3年)の打球が右中間を破るかに見えたが、中飛となってしまった。

 結果として浜風が相手に味方した――。そう思いたくなるほど実力が伯仲した試合だった。

 敗れた後、小倉監督は選手たちに話しかけた。「俺は試合前に『失敗しても笑ってやれ』と言った。でも、みんなの失敗は一つもなかった。点を取らせられなかった監督の失敗だよ」

 小倉監督には試合後、七回の采配について質問が集中した。

 1点を追う七回1死一、三塁の場面で、打席にはこの日2犠打を決めている主将・寒川忠(同)。スクイズで確実に同点を狙うかと思われたが、サインはヒッティング。強烈な打球だったが、相手一塁手に横っ跳びで捕らえられた。

 それでも、当の寒川に後悔の色は全くなかった。「目標としていた甲子園に来て、やりきった。監督さんのもとで野球をできて本当に幸せ者でした」

 あこがれの甲子園では不思議な縁もあった。寒川と聖光学院の主将・赤堀颯(同)は中学時代のチームメート。甲子園で会おうと約束した二人は、試合後に健闘をたたえ合った。「甲子園は思っていた通りの、すばらしい場所でした」。寒川は笑顔で振り返った。

 今年で教員としての定年を迎える小倉監督は、指導を続けると明言。2年生たちにはこう声をかけた。「ここでプレーしたことを忘れるな。まあ、慌てないでやっていこうよ」

 全国制覇の実績もある日大三。輝かしい歴史に足跡を刻み、未来に希望をつないだ夏だった。(狩野浩平)

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