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二松学舎大付・小林主将、九回に代打で登場 悔しさの先にあった幸せ

2022年8月17日08時30分

朝日新聞DIGITAL

 初の夏ベスト8には届かなかったが、春の王者に必死に食らいついた。第104回全国高校野球選手権大会で東東京代表の二松学舎大付は16日、春夏連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)と3回戦を戦い、0―4で敗れた。強力打線を相手に、今大会初先発の大矢は粘りの投球で四回途中まで4失点、2番手の布施がその後を無失点に抑える好リリーフを見せた。零封負けだったが、打線も九回に無死一、二塁のチャンスを作るなど最後まで粘った。

     ◇

 九回表、4点差を追う二松学舎大付の攻撃。アルプススタンドからチャンステーマ「大進撃」の力強い演奏が流れ、それに合わせ大きな手拍子が甲子園にこだました。1死一、二塁のチャンス。代打に指名され、打席に向かうのは主将小林幸男(3年)だった。

 この回、先頭の代打・五十嵐将斗(1年)が初球を打ち返し、右翼線への安打。3三振と苦しんでいた3番瀬谷大夢(3年)も初球をとらえ中前安打を放った。続く4番片井海斗(1年)も初球をたたいたが、一塁ライナーに倒れた。

 スタンドの盛り上がりは最高潮を迎えた。「楽しもう!」。小林は笑顔で今大会初の打席に入った。3球目の直球をフルスイング。打球は目の前で大きくバウンドし、長身の相手投手のグラブに収まった。それでも全速力で一塁に走った。アウトになったが、「すごい観客の中に打席に立てて、幸せだった」。

 1年前、新チームの発足当時は、布施東海(3年)が主将だった。昨年12月、当時エースだった布施の負担を軽くするため、副主将の小林が主将に指名された。誰にでも厳しいことを言えるのを、市原勝人監督から「良いところ」と評価されたからだった。

 期待に応えようと自分なりに頑張った。しかし選抜大会は聖光学院(福島)に、春の関東大会は山梨学院(山梨)にいずれも初戦で敗れた。「みんなプレッシャーがかかった時に決められず、気持ちをコントロールできていない」。どんどん追い詰められた。

 「お調子者でノリが良いのに、まじめになって背負い過ぎちゃっている」。市原監督はそんな小林の姿に決断した。選抜大会で5番打者だった小林を、東東京大会の途中で先発から外した。その上で小林にこう伝えた。「このチームは小林のチームだ」

 正直、先発から外れて悔しかった。でも市原監督の言葉に、「試合に出ることが全てじゃない」とすぐに気持ちを切り替えた。

 この日もベンチスタート。ベンチから身を乗り出して、大声を出し続けた。先発の大矢青葉(2年)がストライクを決める度に拍手して喜び、ピンチの場面は伝令としてマウンドに走り、仲間を落ち着かせた。試合に敗れ、アルプスへのあいさつが終わった後、「すみません」と涙を流す大矢の肩に腕を回した。「おまえがいなかったら、ここまで来られなかった。来年はおまえたちでまた戻ってこい」と慰めた。

 市原監督は小林に感謝している。「責任感を背負ってくれた。こういうキャプテンがいたと受け継いでいきたい」

 自身の名前の由来は家族から直接聞いたことはないが、「幸せな男になれってことだと思います」。最後の夏、小さな頃から憧れた甲子園でプレーすることができた。「何も無い自分たちを甲子園に連れて来てくれた監督に感謝しかない」。その顔には笑顔があふれていた。(本多由佳)

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