聖光学院・山浅、矢のような盗塁阻止 送球一つに詰め込まれた緻密さ
■聖光学院・山浅龍之介捕手(3年)
(16日、第104回全国高校野球選手権大会3回戦 聖光学院8-1敦賀気比)
「矢のような送球」とは、まさにこのことだ。
一回の守り。1死一、三塁から、二塁カバーに入った二塁手・高中一樹が構えたグラブまで一直線につながる送球で、相手の盗塁を阻止した。
「(投手の)佐山に特別なスキがない限り、山浅は動いたランナーは刺すと期待していた」と斎藤智也監督も絶大な信頼を寄せる扇の要。遠投110メートルと肩には自信がある。さらに、この場面は、単純な肩の強さだけでなく高い技術も要求されていた。
最も気をつけないといけないのは、三塁走者の動き。送球が遅かったり、それたりすると、本塁を奪われる。素早く投げるのはもちろんのこと、投手がカットできるくらいの高さ、かつ、二塁カバーに入る野手が後ろにそらさないような球にしなければならない。
前の打者のファウルチップを左ひざで受け、まだ痛みが残るにもかかわらず、求められたすべての要素を備えた100点満点の送球。「高中がうまくベースに入ってくれたし、佐山のクイックもよかった。自分だけの力だとは思っていない」と仲間に感謝する。
趣味は料理。いろんな素材の持ち味を生かしつつ、自由に作り出せることに魅力を感じるという。リード面でも、右腕の佐山未来、左腕の小林剛介とタイプの違う両投手の個性をうまく引き出している。
日大三、横浜、敦賀気比。選抜や全国選手権の優勝経験校を次々と破っての8強入りに、「ベンチ外のメンバーに、日本一の景色を見せてやりたい」。頂点まで、共に進む。(山下弘展)