智弁和歌山、負けた翌日から練習再開 「がんばっていけ」3年生発破
第104回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)で史上7校目の大会2連覇を目指した智弁和歌山は、初戦敗退と悔しい結果に終わったが、ひたむきなプレーを攻守で見せた。頂点へのあくなき思いは、新チームへと受け継がれる。
先発は和歌山大会の2試合に登板して無失点の武元一輝投手(3年)だった。中谷仁監督の頭には、試合後半を背番号「1」の塩路柊季投手(3年)で締めるプランがあったという。
武元投手は一回に2失点したが、二回からは本来の投球を取り戻す。148キロを計測する力強い球を投げ込んだ。3―2で迎えた六回に2失点したところで、塩路投手が救援。1死二塁の場面で2者をきっちりと三振と左飛に抑えた。
その後、塩路投手は八回にソロ本塁打を浴びたが、試合を通じて2人とも1イニングに大量点を与えない粘り強い投球だった。ただ、武元投手が六回に勝ち越しを許した球も、塩路投手が本塁打を打たれた球も高めに浮いた変化球だった。両投手にとっては悔いの残る1球になった。
打線は二回につながった。和歌山大会は2試合のみの出場だった中塚遥翔選手(2年)が8番右翼手での先発起用にこたえる右前適時打。続く山田久敬選手(3年)は初球にスクイズを決め、すぐさま同点に。強豪らしいそつのない攻撃を見せた。山田選手は遊撃の守備でも六回に外野手との中継プレーで本塁へ好返球し、失点を防いだ。
九回、先頭の山口滉起選手(3年)が意地の左越え二塁打で出塁した。「先頭で出てチームに勢いをつけたい」と1番打者の役目を最後に見せた。昨夏の優勝メンバーだった渡部海捕手(3年)は持ち前の強肩で2度、相手の二盗を阻止し、岡西佑弥主将(3年)は好機に1本が出せずに苦しんだが、最後までチームを鼓舞した。
試合後、中塚選手は3年生から「新チーム、がんばっていけ」と声をかけられたという。「負けにくいチームを目指す。選抜にいけるようにがんばりたい」と言った。
負けた翌日からチームは練習を再開したという。悔しさを抱え、前に進む。(伊藤秀樹)