「ガチガチ」だった九州国際大付の2年 次は「のびのび」させる番に
15日、第104回全国高校野球選手権大会3回戦 九州国際大付1-2高松商
九州国際大付は15日、投手陣が粘り、守備陣も随所で巧守を見せながら、高松商(香川)に1―2で競り負けた。序盤に先制された直後に同点に追いついたが、中盤に勝ち越された。「終戦の日」に合わせ、三回途中の正午にはサイレンが鳴り、選手らがグラウンドに整列して黙禱(もくとう)した。
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自慢の長打力は抑えられても、九州国際大付は「九国らしさ」を存分に発揮した。
楠城(くすき)徹監督も選手も、よく「のびのび」と口にする。楠城監督によると、「後輩がのびのびとプレーできる環境を先輩がつくっている」のが持ち味。甲子園出場を決めた時も「負けて責任を取るのは監督だから、のびのびと戦ってほしい」と話した。その姿勢は最後の試合にも表れていた。
先制された直後の二回、佐倉俠史朗(きょうしろう)君(2年)、白井賢太郎君(同)の連打で好機を広げた後、打席に立ったのは甲子園でまだ安打がない浅嶋大和(やまと)君(同)。春の選抜大会では代打で出場し四球。夏の甲子園初戦では3打席ともゴロやライナーに倒れた。
「絶対、自分がかえしてやる」。3球目の外角直球をはじき返すと、打球は二塁手の頭上を越えた。佐倉君が生還。2年生3人で同点に追いつき、浅嶋君は右拳を小さく突き上げた。
だが直後の三回、浅嶋君は三塁へのゴロを後逸。無死二塁のピンチを招いた。
バントで二塁走者がスタート。捕手の野田海人主将(3年)は迷わず浅嶋君が守る三塁へ送球。進塁を阻み、ミスを帳消しにした。「カバーしてくれて頼りになる先輩です」と浅嶋君。引きずらず、四回も安打を放った。
ミスをすれば先輩が助けてくれる。だからミスを恐れずプレーできる。
1点を追う七回から継投した池田悠舞君(2年)。2死二、三塁のピンチで、二遊間へ鋭い打球が飛んだ。遊撃手の尾崎悠斗君(3年)が横っ跳びし、地面に倒れ込みながら好捕。起き上がって絶妙な球を一塁に送った。球場が沸く巧守で、2年生の甲子園初登板を無失点で飾らせた。
「ガチガチになった部分もあった。でも3年生は、のびのびできる雰囲気をつくってくれた」と佐倉君。これからは、2年生が「のびのび」を受け継ぐ番だ。(上月英興)