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ある球児に教わった努力することの意味 記者が見続けた八戸学院光星

2022年8月17日15時07分

朝日新聞DIGITAL

 「この子の努力には頭が上がらないな、と思う人はいますか」

 球児と一対一で取材をするとき、私はよくこの質問をする。高校野球は表に立つ選手にスポットライトが当たる。でも裏で、努力を尽くす球児がいる。そういった子を少しでも取り上げたいという思いがあった。

 ほとんどの学校では様々な名前が挙がる。でも、この夏、第104回全国高校野球選手権大会に青森県代表として出場した八戸学院光星では、主に1人に集まった。

 甲子園で背番号14の、奥名恒貴君(3年)だ。

 「寮にいる時間より、バットを持ってる時間の方が長い」「誰よりもバットを振ってる。あいつには何も言えない」――。レギュラーの選手が、そう口をそろえた。

 奥名君は、1年秋にベンチ入りした。毎日練習後に1時間半バットを振り、気付けば辺りは真っ暗に。「練習量は誰にも負けない」自信があった。でも、ずっとレギュラーをつかみきれなかった。

 今夏の青森大会の出場は1度の代打のみで、内野ゴロに倒れた。

 入学時に抱いた夢「甲子園で本塁打を打つ」ために、自分の動画を何度も見てはフォームを修正し、バットを振った。納得できるまでに時間がかかる。でも自分を諦めたくなかった。

 迎えた甲子園初戦の創志学園(岡山)戦。2―1と1点リードの五回裏。代打に指名された。ファウルで粘り、7球目。打球をレフト前に運んだ。その後打線がつながり、本塁も踏んだ。

 勝ち抜いた2回戦は愛工大名電(愛知)戦。延長十回の大接戦となった。しかし、打席に立つ機会はなく、チームはサヨナラ負けで夏が終わった。

 宿舎に戻ると、父から電話があった。「よう頑張ったな」。普段は褒めない父の一言に、試合直後は出なかった涙があふれ出た。

 最後にグラウンドに立てず、情けなかった。どちらかと言えば、不完全燃焼だった。でも、高校野球に全力を注いだ3年間をこう振り返った。

 「ネガティブな自分だけど、積み重ねてきた練習と継続力が自信をくれた。頑張ってきて良かったと、胸を張って言えます」

 ある強豪校で、自主練習に意味はないのでしませんと言った球児が、レギュラーをつかんでよく安打を放っていた。

 私は、「努力は報われるとは限らない」という言葉をかみ締めていた。それでも、奥名君には、野球に打ち込んできた経験と自信が残る。それはきっと、たとえ野球から離れても、彼を支えてくれる。

 努力することの意味を、教えてもらった。(西晃奈)

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