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「晴也、力を貸してくれ」 試合前に見上げた空 大阪桐蔭・鈴木塁君

2022年8月11日08時00分

朝日新聞DIGITAL

 大阪桐蔭の遊撃手・鈴木塁君(3年)は初回の守備についたときに必ず、空に向かって心の中でこう語りかける。

 「晴(はる)也(や)、自分がチームに貢献できるように力を貸してくれ」

 中学のときに亡くなった親友の久野(くの)晴也君だ。一緒に甲子園を目指した友の思いを胸に、試合に臨んだ。

 鈴木君は岐阜県出身で中学時代は愛知県のクラブチームに所属。2018年の春夏連覇メンバーの藤原恭大(きょうた)選手(ロッテ)に憧れ、大阪桐蔭の門をたたいた。

 久野君と出会ったのは小学6年のとき。中日ドラゴンズのジュニア選抜チームで一緒になった。鈴木君は内野手、久野君は外野手。互いに「晴也」「塁」と呼び合い切磋琢磨(せっさたくま)した。

 2人の約束は「甲子園で対戦すること」だった。

 しかし――。

 中学2年の8月、鈴木君が夏の甲子園の観戦に訪れた日のことだ。帰りに立ち寄った高速道路のサービスエリアで父・隆宏さん(51)の携帯電話が鳴った。隆宏さんは知人との通話を終えると、こう言った。

 「晴也が川で溺れて亡くなったらしい」

 親友の突然の訃報(ふほう)。

 「最初は何が起こったか理解出来なかった。ただただ悲しくて号泣しました」

 大阪桐蔭に入った直後は寮生活に慣れなかった。左足の疲労骨折もあった。苦しいとき、寮のベッドに久野君が好きだったドラえもんのぬいぐるみを置いた。

 「あいつはしたくても野球が出来ない。でも自分は野球が出来るんだと、感謝の気持ちが湧いてくる」

 試合用の帽子のつばには「意志ある所に道は開く」と書いた。久野君の両親から彼の帽子にそう書いてあったと聞かされた言葉だ。

 その帽子をかぶって立った、約束の甲子園のグラウンド。この日も鈴木君は試合開始直後に守備位置で帽子をとり、胸に手をあてながら天を見上げていた。

 しかし、初戦の緊張もあったのか、守備で2失策してしまった。西谷浩一監督は「普段は守備のいい鈴木だが、今日はリズムが狂っていた」と振り返る。

 新型コロナ感染対策のための取材制限で、記者は試合後に鈴木君に会えなかったが、大会前には「自分らしいプレーをすることで、晴也に成長した姿を見せたい」と意気込んでいた。

 2回戦では鈴木君らしいダイナミックな遊撃の守備に期待している。

 久野君もきっと鈴木君の活躍を楽しみにしているはずだ。(岡純太郎)

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