秋田大会初戦負けからつなぐバトン 夢舞台でも継いだ 田中元輝主将
(10日甲子園、能代松陽2―8聖望学園)
甲子園の舞台でも、能代松陽の中心には主将の田中元輝君(3年)がいた。
夢の舞台は1試合で終わったけれど、試合後、主将は「聖地で戦えたことを誇りに思う」と胸を張った。
2年生のときから正捕手としてチームを引っ張った。だが昨夏の秋田大会は1回戦で敗退。「自分の配球で先輩を勝たせられず、悔いが残った」。試合後、学校に戻ると当時の主将が泣きながら言った。「来年は俺たちみたいになるな」
新チームで主将になった。どうすれば、自分たちは勝てるのか――。まずは日々のあいさつや授業態度から変えるべきだと思った。「勝つためには必要だ。嫌われてもいいから、自分が言おうと思った」
昨秋の県大会で優勝。しかし、この春の大会は準々決勝で秋田商に負けた。
「自分たちは、もう少し強いと過信していた」
もっと謙虚に。秋田のライバル校から学んだことを仲間と話し合った。
秋田商には、球際の強さやベンチの雰囲気に伝統校のプライドを感じた。練習試合をした明桜は「覚悟を決めて秋田に来ている選手たち。勝たないといけないとの気持ちが違った」。
この日、田中君はピンチの場面でマウンドに駆け寄り、森岡大智投手(2年)に声をかけた。「強気にインコースを攻めよう」。内外野にも、大声で指示し、仲間たちを励まし続けた。
「コロナの中、苦しいことしかなかったが、最後は自分たちの力で乗り越えてここまで来られた」
そう話した主将は試合後、2年生の大高有生君たちに声をかけた。「来年は絶対に勝てよ」(北上田剛)