「甲子園は一瞬で、楽しくて最高の場所」…敗れた選手が残した言葉は
第104回全国高校野球選手権大会第5日の10日、第3試合から2回戦に入った。これまでに敗れ去ったチームの印象的なコメントを紹介する。
能代松陽(秋田)の捕手田中元輝は3年間を振り返り、こう語った。「コロナの中での活動で苦しいことしかなかったけど、自分たちの力で乗り越えたことは誇りに思います。最後まであきらめることなく、全員で粘れました」
新型コロナの集団感染で選手10人を入れ替えて臨んだ県岐阜商。二塁手の河合福治は「この試合に出られなかった仲間から『俺たちの分まで頑張れ』と言われて絶対に勝とうと思ったのに」と声を詰まらせた。最後の打者となり、「3年生の粘りを見せたかった。1、2年生はここで戦った経験を生かしてほしい」。
市船橋(千葉)に逆転サヨナラ負けを喫した興南(沖縄)だが、エース生盛(せいもり)亜勇太は前を向いた。「甲子園は一瞬で、楽しくて最高の場所でした。マウンドから見る景色は最高でした。遠い沖縄から応援に来てくれてありがたかったですし、相手の応援もすごかったので、逆に自分のものにできるように、楽しみながら投げていました」
2年連続初戦敗退となった日本文理(新潟)の救援投手、村越仁士克は「今日の負けで高校野球が終わってしまった。去年甲子園で負けた分は、甲子園で返さなきゃいけないと思っていた。去年よりひどい結果になって悔しい気持ちがある」。
聖光学院(福島)に競り負けた日大三(西東京)。「小倉全由監督のもとで野球がやりたくて三高に行った」という二塁手の寒川忠(あつし)は、相手の遊撃手・赤堀颯(はやと)とは中学時代チームメートだった。
「赤堀に二塁打を打たれた時は二塁上で、互いに『いい試合をしような』と言葉を交わした。試合が終わった後は『自分たちの分まで頑張ってくれ』と伝えた。切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間。勝ちたかったけれど、楽しい時間だった」