甲子園で輝いた力強い打撃、課題は守備 高岡商の戦いを振り返って
高岡商は8日の1回戦で敦賀気比(福井)に3―13で敗れ、昨年に続き初戦を突破できなかった。富山大会では終盤に勝負強さを発揮したが、甲子園では守備の乱れから序盤に失点し、試合の主導権を握れなかった。「甲子園の借りは甲子園で返す」の目標はかなわなかったが、全国レベルの力強い打撃は輝いていた。
北陸勢同士となった試合。初回、先頭打者を三振に打ち取り、先発した川尻啓人投手の立ち上がりは悪くなかった。だが、1死から失策で走者を出すと、リズムが狂った。5連続安打を浴びるなどして4失点。吉田真監督は「初回を少ない失点で乗り切れればと思ったが、ミスも重なった。初回の入りがうまくいかなかった」と悔やんだ。
主将の近藤祐星捕手は敦賀気比打線について、「まっすぐに強いと聞いていた。変化球をうまく使っていきたかった」。だが、各打者のスイングは鋭かった。打ち取ったと思った打球が野手の間を抜けていったという。近藤捕手は「相手の打線が一枚も二枚も上だった」と振り返った。
一方で、富山大会で打率3割7分2厘の打撃は、甲子園でも2桁の14安打を放った。5点を追う三回、柴田晟那(せいな)選手、宮内一行選手、川尻選手の3連続安打で1点。四回は早上樹生選手の適時打と柴田選手の長打で2点を返し、2点差まで追い上げた。冬場に取り組んだ1人8万本の素振りなどトレーニングの成果を存分に発揮した。三回以降は川尻投手も立ち直り、中盤は高岡商が優位に試合を進めた。
吉田監督は「持ち味である粘りや打力は見せたと思う」としたうえで、課題について「キャッチボールも含めて基本的なアウトをしっかり取ること」と語った。5失策は痛かったが、打力は全国でも通用することを示した。しっかり守って攻撃につなげることができれば、来夏こそ3回戦に進んだ2019年以来の勝利をつかみ、「甲子園の借り」を返せるはずだ。
記者も2年連続の甲子園取材だったが、今夏も新型コロナで取材の機会は限られた。選手や監督への対面取材ができなかったのが残念だ。でも、甲子園のスタンドには一般客が戻り、かつてに近い熱気を感じることができた。来夏こそ、大歓声の中でプレーする富山代表が初戦を突破する姿を見せてほしい。(井潟克弘)