最激戦区はGゾーン、横浜・興南・日大三も 夏の甲子園の見どころは
第104回全国高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会が3日、大阪市北区のフェスティバルホールであり、出場49校の3回戦までの組み合わせが決まった。各ゾーンの見どころを紹介する。
■Aゾーン 明秀日立は打率4割超
昨秋の関東王者・明秀日立は、茨城大会のチーム打率が4割超と打線が好調だ。中軸の佐藤光成、石川ケニー、武田一渓は計35打点を挙げた。今春も関東4強と安定した結果を残しており、夏は初出場ながら実力がある。鹿児島実はマウンド度胸のあるエース左腕、赤崎智哉の踏ん張りが鍵になる。29回目出場の仙台育英は、最速145キロの左腕古川翼ら投手陣が豊富で、守備も堅い。鳥取商は岩崎翔、山根汰三の両右腕の継投で対抗したい。
■Bゾーン 高松商に大会屈指の強打者
強打が自慢の九州国際大付と試合巧者の明徳義塾が初戦から顔を合わせた。九州国際大付は2年生の強打者佐倉俠史朗(きょうしろう)が打線の中心。明徳義塾の変則左腕、吉村優聖歩(ゆうせふ)は昨夏の甲子園で3試合に登板と経験値が高い。高松商は大会屈指の強打者、浅野翔吾が1番打者として打線を引っ張る。佐久長聖は小技を絡めた野球を信条としており、得意の先行逃げ切りに持ち込みたい。
■Cゾーン 浜田、島根大会5試合で19盗塁
ともに九州勢と中国勢の対決。下関国際は前チームから主力だった選手が多く、経験は豊富。左腕の古賀康誠はスライダーのキレがよく、右腕の仲井慎は球威で押す。富島は宮崎大会をほぼ1人で投げた最速148キロ右腕の日高暖己(あつみ)が鍵を握る。春夏連続出場の有田工は右腕の塚本侑弥が投打の柱。佐賀大会は1番打者で打率4割超をマークした。18年ぶり出場の浜田は島根大会5試合で19盗塁。足を絡めた攻撃で塚本を揺さぶりたい。
■Dゾーン 王者・智弁和歌山 初戦までの時間どう生かす?
開幕試合は11大会連続(中止の2020年をのぞく)を目指した作新学院を破って37年ぶり出場の国学院栃木と、春夏連続ながら夏は33年ぶりの日大三島の対決。盛永智也、松永陽登の両右腕の投げ合いで3~4点の勝負とみる。この勝者とあたる昨夏の覇者・智弁和歌山は初戦までの時間をどう生かすか。渡部海らの強打に加え、投手陣も安定してきた。新型コロナ集団感染の影響が心配されるが、九州学院、帝京五ともに打線がいいチーム。帝京五は3番の岩来太陽が好調。九州学院は4番の村上慶太が本来の調子を取り戻せば万全になる。打ち合いが予想される。
■Eゾーン 愛工大名電×星稜 1回戦屈指の好カード
全国最多175チームが参加した激戦区・愛知を制した愛工大名電と選抜8強の星稜による1回戦屈指の好カード。愛工大名電は先発6人が打率4割を超え、打線に切れ目がない。ともに球威があり、変化球もいい星稜のマーガード真偉輝キアン、武内涼太の両右腕がいかに断ちきるか。
昨夏、全国4強の京都国際は、エース左腕森下瑠大を筆頭に経験値が高い選手がそろう。一関学院は、岩手大会計10本塁打の打撃力で対抗する。
明豊は大分大会5試合で52得点と攻撃力が高く、16盗塁と小技も使える。前橋育英、健大高崎などを破った樹徳は勢い十分。先制点を奪って焦りを誘いたい。創志学園は、横手から最速147キロを投げ込む好右腕、岡村洸太郎を擁する。強打が伝統の八戸学院光星を抑えられるかが鍵になる。
■Fゾーン 選抜出場同士の激突が2試合
今春の選抜出場校同士の対戦が2カードある。
準優勝の近江はプロ注目のエース山田陽翔が大黒柱。球威、変化球ともにレベルが高い。選抜の1回戦で大阪桐蔭に1―3と善戦した鳴門の冨田遼弥も好左腕。がっぷり四つの投げ合いを期待したい。
天理、山梨学院はともに選抜は初戦で敗退しており、雪辱を期す。山梨学院は山梨大会5試合で72得点と強打が持ち味で、天理も投打ともにレベルが高い。好勝負が期待できそうだ。
鶴岡東は山形大会のチーム打率が4割超。48年ぶり出場の盈進(えいしん)は、得意の機動力で対抗できるか。日本文理のエース田中は大会注目の本格派右腕で新潟大会は34回を投げ35奪三振。投打のバランスがいい海星は総合力で勝負したい。
■Gゾーン 横浜×三重 守り合いか
横浜、日大三、興南と優勝経験のある3校が入る最激戦区だ。敦賀気比と高岡商の北陸対決はどちらも打力が持ち味。敦賀気比はエースで4番の上加世田(うえかせだ)頼希(らいき)が鍵を握る。富山大会の準決勝、決勝を1点差で制した高岡商は得意の接戦に持ち込みたい。興南は最速147キロ右腕の生盛(せいもり)亜勇太(あゆた)の状態がいい。千葉大会7試合で59得点と好調な市船橋打線をどう抑え込むか。
ともに2年連続出場の三重と横浜は、守り合いになりそうだ。三重の上山颯太は最速144キロの右腕で三重大会は30回を投げ5失点と安定する。横浜の左腕杉山遥希はスライダーの切れがよく、牽制(けんせい)などマウンドさばきもうまい。日大三は西東京大会6試合で74得点、11失点と投打がかみあっている。春の東北王者の聖光学院は俊足の1番赤堀颯が出塁し、機動力を絡めたい。
■Hゾーン 投打に盤石の大阪桐蔭に挑む旭川大
投打に盤石の大阪桐蔭に対し、旭川大は好右腕、山保(さんぽ)亮太と池田翔哉の継投策で挑みたい。大阪桐蔭は大会屈指の左腕・前田悠伍のほか、別所孝亮、川原嗣貴の両右腕もいい。旭川大はうまく目先を変えて3点以内の勝負に持ちこめるか。初出場の社(やしろ)は、今大会最多となる30回目の県岐阜商と戦う。堀田柊、芝本琳平を軸に投手力は高いだけに、内藤大輔、伊藤颯希ら好打者が並ぶ県岐阜商打線をどこまで封じ込められるかが鍵になる。
二松学舎大付は辻大雅、札幌大谷は森谷大誠と、ともに好左腕を擁する。互いに打線も好調で、見応えある攻防が見られそう。左打者の打撃内容が勝敗を左右しそうだ。聖望学園の岡部大輝はテンポがよく、制球力も高い好右腕。対する能代松陽の右腕・三浦凌輔は球の切れで勝負する。能代松陽は堅守で三浦を支えて、ロースコアの勝負に持ち込みたい。