甲子園の魔物に会いたい 8回1失点の横浜隼人エース、決勝への誓い
(30日、女子硬式野球選手権大会 横浜隼人2-1京都両洋)
2―1で迎えた延長八回裏2死二塁。
横浜隼人の内野手たちはマウンド上のエース右腕、本橋未菜のところに集まった。
「みんな、顔怖いよ」
互いの硬い表情を見て、笑い合った。甲子園まで、あと1死。
「相手はチャンスでボール球を振ってくれている。少し外しても大丈夫」と本橋。
直球を4球続けて低めに投げ込み、相手4番を空振り三振に仕留めた。
今春、悔しい思いをした。
部内で新型コロナウイルス感染が広がり、センバツ3回戦を辞退せざるを得なくなった。
「何も考えられなかった」
初めて東京ドームで開かれた決勝などは、動画で見た。
「自分たちもここに立てたのに……」
悔しくて仕方なかった。
「最後の夏は全員で、センバツの分まで絶対に甲子園に行く。そして全国優勝する」
そう誓った。
伸びのある直球を中心に、テンポよく投げ込んだ。
七回に1点を奪われ、同点に追い付かれても慌てない。1死一塁から得意の牽制(けんせい)で走者を刺し、勢いを断った。
8回を1失点。88球を投げ抜いた。
「みんなのために、絶対投げきりたいと思って頑張った。本当にうれしい」
決勝の舞台は甲子園。高校野球の応援で、テレビ越しに見ていた憧れの舞台だ。
「甲子園なんて、実感がわかない。本当に夢の舞台。『甲子園には魔物がいる』とか言うけど、本当にいるのかな。いたら会ってみたい」と笑った。
甲子園という目標はかなえた。次は日本一だ。(佐藤祐生)