日大三島の監督「強くなったなあ」 疲労蓄積の不安よそに攻守躍動
(29日、高校野球静岡大会決勝 日大三島8―1静清)
前日の準決勝は延長十三回タイブレークの末、掛川西に4―3で勝利。3時間27分の熱戦が終わったのは午後4時13分だった。
日大三島の永田裕治監督(58)は学校に戻ると、選手に「今日はすぐ家に帰って、ゆっくり休みなさい」と話したという。
この日は早朝から集合し、学校で練習してから、午前10時プレーボールの決勝に臨んだ。「(体が)重かった」という監督の心配を振り払うように、選手たちはいきなり躍動した。一回、4番でエースの松永陽登(はると)が中前適時打。二回は9番・吉川京祐の左越え三塁打で加点した。
投げては松永が内外角を丁寧について、静清になかなか得点を許さない。バックも堅い守りでエースを支えた。五、六回には計6点を追加し、春夏連続の甲子園出場をグンッとたぐり寄せた。
春の選抜大会で1989年夏以来33年ぶりに甲子園の土を踏んだが、初戦で涙をのんだ。「疲れはあったが、春の忘れ物を取りに行くために頑張ってきた」と松永。主将の加藤大登(ひろと)は「監督に教わった全員野球をすることができた。甲子園でも78人全員で、まず1勝を目指したい」と語った。
報徳学園(兵庫)を率いて選抜大会優勝の経験もある永田監督が就任したのは一昨年4月。「静清にお願いして練習試合をしていただいたが、九回戦えなかった。準決勝でやった掛川西にも一方的にやられた。感慨深いものがあります」
閉会式で優勝旗を受け取り、金メダルをかける選手たちを三塁ベンチ前から見守った。「強くなったなあ」と目を細めた。=草薙(安藤嘉浩)