会津学鳳・黒森さんの迷いなきノック 「野球がしたい」一心で練習
第104回全国高校野球選手権福島大会(朝日新聞社、福島県高校野球連盟主催)で5年ぶりに1勝をあげた会津学鳳。チームを支えたのはノッカーを務める女子マネジャーだった。
試合前にグラウンドで行う7分間のシートノック。今大会、会津学鳳では内野のノックを女子マネジャーの黒森陽香さん(1年)が務めた。
黒森さんはソフトボール経験がある母の影響で、小学2年生からソフトボールを始めた。キャッチボールの相手はいつも母。右利きだが、母からのアドバイスで左打ちにした。
会津学鳳中進学後はソフトボール部がなく、違う部活も考えたが、一つ上に女子選手がいたため野球部への入部を決断した。だが中学になると、男子選手と体力の差を感じるようになった。「ほかの選手と走ると一番遅かった」と笑う。
差を埋めるため、ほかの選手よりも多く走ったり、自主練習では後輩の手助けを受けて守備練習をしたりした。中学では女子選手もベンチ入りが可能なため、一塁手として試合に出ることもあった。
黒森さんは高校でも中学時代のメンバーと野球がしたいと、高校野球部への入部を決意。中高一貫校のため、中学3年生の昨年10月から練習に参加した。
入部直後、黒森さんのスイングを見た皆川俊哉監督から、ノッカーを提案された。「女子マネジャーがノッカーを務めると聞いたことがなく、驚いた」と振り返る。皆川監督は「いい打球を打っており、チームのために力になってほしいと思った」と話す。
黒森さんは今春の県大会でデビューし、福島大会でも2試合でノッカーを務めた。チームは3回戦で敗れたが、「自分が迷ってノックを打っていると選手にも動揺が伝わる。これからも選手が試合で堂々プレーできるようにシートノックから盛り上げていきたい」と話した。(滝口信之)