鶴来のエース、強豪入学への未練は消えた 仲間とたどり着いた星稜戦
24日、高校野球石川大会準決勝、鶴来0―12星稜
序盤、鶴来のエース中家らい(3年)の制球は定まっていた。だが、直球が走らない感覚があった。四回裏、ボール球が先行し始め、流れをつかめず打たれたり、四球を与えたり。このパターンが続いた結果、1回で11失点を喫した。
元々は私立の強豪校に行きたいと思っていた。だが、先輩の誘いもあって鶴来へ。野球部に入ってからも、強豪校への憧れはあった。だが、打ち解け合える仲間たちと、楽しみながら切磋琢磨(せっさたくま)できる鶴来に居場所ができた。そんな仲間たちと準決勝まで進めた。
「このままやったらいける」。昨夏、1点差で負けた星稜へリベンジを果たすべくマウンドに立った。
11点を取られ、ベンチに戻り、腰をかけた。3点取れば5回コールド負けは免れる。「塁をためて自分まで回してくれたら、点を返そう」。仲間を信じて試合を見つめた。だが、最後の橋爪里空(3年)が内野ゴロに打ち取られた。
「この試合で負けたのは悔いが残るけど、3年間全体でみると悔いはない」。涙はなかった。(敬称略)(マハール有仁州)