18歳になった笑顔のマウンド、仲間と共に強くなれた 前橋東エース
22日、高校野球群馬大会準々決勝、健大高崎9―0前橋東
球場にブラスバンドの「ハッピーバースデー」の演奏が響いた。
打席に入った前橋東のエース大森柊河(しゅうが)(3年)はこの日18歳になった。「特にうれしかったのは、(対戦相手の)健大(高崎)のベンチも拍手を送ってくれたこと」。笑顔を浮かべた。
この春、大森はマウンド上で倒れた。
春の大会の2回戦。投手へのライナー性の打球が頭部に直撃した。「気づいたら倒れていて、左目が見えなかった」。救急車で病院に運ばれ、頭蓋骨(ずがいこつ)などの骨折と外傷性くも膜下出血と診断された。
目は見えるようになったが、1週間入院し2週間は自宅待機。「部活には戻りたいけれど、戦力にはなれないかも」。不安だった。
久々の登校。自分の席にじっと座っていた。するとチームメートたちが「もう大丈夫なのか!」と駆け寄ってきた。
同級生の石原歩が言った。「これで夏の1回戦負けはなくなったな」。自分は必要とされているんだと分かった。
復帰後は、マウンドに立つのが怖かった。でも「あの1球は運が悪かっただけだ」と開き直った。小暮直哉監督は「もくもくと努力できる彼じゃなかったら、戻って来られなかった。よくがんばった」。
最後の試合は五回途中で降板し、石原に継投した。「最少失点で抑えなきゃいけなかった。悔しい」。涙は止まらないが、「頼もしい仲間たちがいて、ここまで強いチームになれた」と涙にぬれた目を細めた。(川村さくら)