強豪に進んだ双子の兄を超える投手に 羽島北・若山君の挑戦続く
(21日、高校野球岐阜大会4回戦、美濃加茂9―2羽島北)
「いけいけ」
四回表、一塁コーチで背番号10の羽島北・若山凌護投手(3年)が味方を大声で鼓舞する姿があった。普段はブルペンで登板の準備をしていることが多い。
この日は、監督から「ランナーを声でリードするように」と指示され、一塁コーチに選ばれた。美濃加茂の捕手が変化球を要求する際の癖を見逃さないようにしよう。対戦が決まり、捕手の動作に注目してきた。
若山投手は双子の兄と同時に、小学2年の終わりごろから野球を始めた。小中学校時代は同じチームで兄は投手で自分は内野手。兄はそのまま県内の強豪、岐阜総合学園に進学した。
羽島北の野球部に入って、投手に転向した。山川陽祐監督からは「3年間で絶対に兄貴を超える投手になれ」と言われ、岐阜総合学園と練習試合をする時は必ず投げさせてくれた。だが勝ったことはなかった。
夏前、兄から珍しく「調子が悪い。背番号をもらえるかわからない」と弱音を聞いた。結局、兄はメンバー入りできなかった。落ち込む姿に何も声をかけられなかった。
若山投手自身は、3回戦の瑞浪戦では先発。一、二回に失点を重ねたが、以降は無失点に抑えた。
この日、若山投手は一塁コーチを終え、五回からブルペンで準備を始めた。だが試合は2―9でコールド負け。出番は回ってこなかった。「(兄は)大学で続けて、140キロ出すと言っている。僕も投手として続けてもっとうまくなりたい」(東谷晃平)