「野球に絶対はない」焦って乱れた強打者の構え 青森山田・森川主将
(20日、高校野球青森大会 八戸工大一3―1青森山田)
野球は「失敗のスポーツ」と言われる。3割打者といえど、7割はアウトになるからだ。これまでの好調が一転、不調に陥った青森山田の森川大輝(だいき)主将(3年)の打撃を見て、その言葉を思い出した。
勝負強い3番打者。東京の中学時代は硬式野球の日本代表チームで活躍し、昨夏は2年生ながら4番を任された実力の持ち主だ。
今大会もチームの中軸として、打線を引っ張っていた。準決勝までの3試合は打率6割9分2厘、6打点、二塁打4本と、いずれもチームで一番。
対戦した八戸工大一の長谷川菊雄監督からは「全打席を敬遠したくなる打者」と、恐れられていたほどだった。
ところが、この日に限って、いつもの確実な打撃ができなかった。
一回は変化球に詰まって一ゴロ。三回はカーブにタイミングが合わず三邪飛。六回は直球に押されて三飛。九回も変化球に差し込まれて一ゴロ。4打数無安打に終わった。
普段と異なっていたのは、打つ直前の構えだ。これまでは、体の前でバットを垂直に持ち、目で位置を確認していた。打つときの体の軸をイメージするためだ。その軸をぶらさず、どっしり構えて打つのが持ち味だった。
だがこの試合では、バットを垂直に立てる時間が短く、上半身のバランスを崩す場面が多かった。
試合後にわけを尋ねると、「自分が打たなければ、という焦りがありました」と明かした。
チームは昨秋と今春の県大会を制し、県内で無敗のまま夏を迎えた優勝候補の筆頭だった。
「野球に、絶対という言葉はないことがわかりました。負けるべくして負けた。力不足でした」と潔かった。(渡部耕平)