スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

車椅子を押してくれたエース、次は自分が助ける番 新田暁・山田君

2022年7月20日14時15分

朝日新聞DIGITAL

 (20日、高校野球群馬大会3回戦、利根商7―2新田暁)

 新田暁の左翼手、山田翔太(3年)は、ベンチに戻るたびに、エースの下山輝(3年)に声をかけた。

 「いつでも投げる準備はできているから。思いきっていけ」

 1、2回戦で先発した山田。序盤から利根商打線に捕まる下山を助けたかった。いま野球ができているのは、下山たちのおかげだから。

 昨年10月。体育の授業でマラソンをしていた時、突然頭をえぐられるような痛みに襲われた。足に力が入らなくなり、その場で倒れた。病院で検査を受けたが、詳しい理由は分からなかった。2カ月ほど、毎日の頭痛に悩まされた。

 足に力が入らないまま、11月までは車椅子で生活した。野球をする仲間がうらやましくて、練習の見学にもあまり行かなかった。放課後に練習の声が聞こえるたび、何度も思った。

 「このまま野球をやめようかな」

 そんな山田を気遣ってくれたのが、同じ投手のライバル下山だった。

 学校では車椅子を押してくれたり、「グラウンドで待っているから、戻ってこいよ」と声をかけてくれたり。仲間のために、まだまだ野球を続けたいと思い始めた。家では椅子に座ったまま、バットを振った。

 12月下旬、練習に復帰した。仲間と体を動かすと、やっぱり気持ち良い。翌朝の筋肉痛でさえうれしかった。いつまた頭痛が来るか分からない。かばんに頭痛止めの薬を入れて、練習を積んできた。

 迎えた最後の夏。昨秋の県大会で敗れた利根商に再び敗れた。

 山田の登板機会はなく、目標の8強入りを逃した。ここまで初戦はコールド勝ちし、2回戦では延長戦を制した。いつまでも忘れられない夏になった。

 「頭痛で野球は無理と思ったけど、仲間がいたからこうして戻ってこられた。そんな仲間と8強をめざして戦えて、後悔はない」

 大粒の涙を流しながら、声を振り絞った。(吉村駿)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ