大曲工の2枚看板は小中高の親友 「任せろ」つないだ最後のマウンド
(17日、高校野球秋田大会準々決勝、大曲工1―5能代松陽)
2人のエースの「夏」が終わった。
この日、大曲工の背番号1、石山伶偉投手(3年)は控えだった。先発はもう1人のエース、背番号9の長淵星河投手(3年)。
2人は小中高を通じてライバルであり、親友でもあった。互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、誘い合って大曲工に進学した。
最速152キロを誇る速球派の石山投手と、安定感のある長淵投手。
大曲工が1点リードで迎えた四回裏、先発の長淵投手がピンチを迎えた。1死二、三塁になり、ブルペンの石山投手が呼ばれた。
「ごめん、後は頼む」
「任せろ」
親友と声を交わしてマウンドに登ると、声援が大きく聞こえた。
「自信のある速球でおさえられれば」。強気で打者に向かったが、適時打を放たれ、4点を失った。力投を続けたが、試合は1―5で敗れた。
試合後、2人はお互いにたたえ合った。石山投手は「ずっと仲良くて、本当に助けてもらった」。長淵投手は「伶偉(石山投手)がいたから、成長できた」。
石山投手の最後の球は141キロ。「全力の投球ができました」(三浦英之)