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「泥臭く秋田工らしい野球してくれた」 スタンドで立ち続けた杉本君

2022年7月15日10時59分

朝日新聞DIGITAL

 (14日、高校野球秋田大会3回戦、秋田工3―10能代松陽)

 初回から、昨秋の県大会の覇者・能代松陽打線につかまった。秋田工のスタンドで、ベンチを外れた杉本龍之介君(3年)がグラウンドを見つめて言った。

 「相手は能代松陽。失点は承知でやってきたから、取り返せばいいだけだ」

 秋田工の部員は県内で2番目に多い71人。必死に練習してきたけど、ベンチ入りはかなわなかった。

 両親が応援してくれた2年半だった。いつも練習試合のビデオを撮ってくれた。野球をしていた父親は厳しくて、自宅で一緒に見ているといろいろと指摘されるから、思わず言い返すこともあった。母親はその様子を笑って見ていた。

 6月下旬にあった自身の引退試合。送ってもらう車の中で、母親は泣いていた。「最後はミスしても、エラーしても、楽しんでこい」と送り出してくれた。

 「いま思うと、父親の言葉をもっと聞いていたら、背番号がもらえたんじゃないかなと後悔しています」

 この日の試合前。こちらに向かって両手を振る背番号2の佐々木笑太朗君(3年)を見て、表情がほころんだ。ベンチ前では控え選手がふざけて仲間を笑わせていた。良かった。みんな、いつも通りだ。

 5点を失った初回の相手の攻撃は長かった。

 1人だけ立ったままの杉本君は、グラウンドに向かって何か叫ぼうとして、ゆっくりとメガホンを下ろした。新型コロナの感染防止のため、スタンドでの声出しは禁止されていた。

 劣勢の守備も、反撃の攻撃も――。試合中、1人だけ立って応援を続けた。

 「うちはベンチのメンバーもみんな立って応援するから、自分もずっと立っていようと決めています」

 一度は2点差まで追い上げたが、最後はシード校に突き放された。相手の校歌が終わると、スタンドでテレビ局の取材に応じた。

 「本当だったらあいつらと、ベンチで声を出して最後までやりたかった。だけど、泥臭く秋田工らしい野球をしてくれた」

 少し遅れて外に出ると、ベンチ入りした仲間が待っていた。佐々木君に抱きつくと、声を上げて泣いた。(北上田剛)

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