流れ呼び込んだ背番号「10」、バットでも貢献 村上桜ケ丘・石田君
(14日、高校野球新潟大会2回戦 佐渡総合5―4村上桜ケ丘(延長10回))
村上桜ケ丘の投手石田廉(3年)はじりじりしていた。少しずつ点差を広げられていくのを、ブルペンからただ見ていることしかできなかった。「監督から信頼されていない」。思い当たることがあった。
新チーム発足当初からエースを任され、春の県大会でも8強入りの原動力となった。ただ、その準々決勝の新潟明訓戦では初回から打ち込まれ、三回途中で1死も取れないまま降板していた。
課題は制球力だった。カウントを悪くし、ストライクを取りにいった甘い球を痛打された。夏に向け、腕を少し下げるフォームに変えた。手応えも感じていたが、大会前に渡された背番号は「10」。慣れ親しんだ「1」ではなかった。
この日の出番は、もう1点もやれない場面で巡ってきた。七回表2死二塁。前の回に逆転され、この回も2点を追加されていた。
「絶対流れを変えてやる」。前の打席で逆転の適時二塁打を放っている3番打者を三振にとると、味方が1点を返した後の八回は、わずか7球で三者凡退に抑えた。裏の攻撃では先頭打者として安打で出塁。バットでも貢献し、チームに流れを呼び込んだ。
一進一退の攻防が続き、もつれ込んだ延長十回。無死一塁から、4番打者に真ん中に入ったスライダーを左翼線にはじき返された。続く5番には内角の直球を中堅まで運ばれ、犠飛に。決勝点を奪われた。
シードとして優勝を目標に臨んだ大会で、結果は思いもよらない初戦敗退。「悔しいです」。淡々と語った。(友永翔大)