優勝→コールド負け…立て直し挑んだ夏 白鷗大足利エースの斎藤君
13日、高校野球栃木大会2回戦、足利大付5―3白鷗大足利
2点を追う九回裏。白鷗大足利のエース斎藤祥汰はベンチの真ん中で声を張り上げた。2死から走者が出ると、投球練習を再開。でも、出番はなかった。
この1年は波乱に富んでいた。秋季県大会は準々決勝で作新学院にコールド勝ちし、そのまま頂点に駆け上がった。だが、春季県大会は準々決勝で佐野日大にコールド負け。4番でエースの斎藤は心が揺れたようだ。捕手の大下魁正は「コールド負けした後、斎藤はちょっと自信を失ったような……」とみていた。
それでも立て直し、臨んだ夏の大会だった。
初戦の相手は渡良瀬川の向こう側の足利大付。藤田慎二監督は「接戦になるのは分かっていた。だから勝負の終盤は斎藤と決めていた」という。
七回、逆転されてからの登板だった。身長180センチの右腕は真っ向勝負の力投だった。だが「打撃が……。4番を任されながら、安打がなかった。1本でも打てていたら試合の流れが変わったのに」と斎藤は悔やんだ。
冬は赤城おろしが吹き抜け、夏は体温を上回る気温になる渡良瀬川河川敷のグラウンドで、甲子園をめざした日々。「この仲間と一緒に野球ができたのが一番」と斎藤はつぶやいた。(根岸敦生)