「うぅ…」キャッチャーはつらいよ 体張って勝利、上伊那農の守屋君
(13日、高校野球長野大会 上伊那農13―3地球環境)
「こんなんなっちゃいました」。試合後、上伊那農の主将、守屋颯斗(りゅうと)(3年)が苦笑いをしながら首元を見せてくれた。大きな青あざができていた。「すごい痛い。でも、キャッチャーなのでしょうがないですね」
四回の出来事だ。ファウルボールがプロテクターの隙間を縫って右鎖骨付近を直撃。「うぅ……」と漏らし、うずくまる。チームメートに支えられながらベンチ裏へ引き揚げた。治療のため試合は9分間中断。その後、グラウンドに戻り、再びマスクをかぶった。
中学までは主に一塁手だった。高校で監督に指示され捕手に転向。プロ野球・南海で活躍した故野村克也さんの著書を読み、捕手の役割を学んだ。「捕手がどれだけ投手の良さを引き出せるかが、勝負のカギになるんだ」。勝利のため、必死に配球を学んだ。
この日は右太ももにもファウルボールを受け、痛い一日になった。だが、「つらいこともあるけど、扇の真ん中で周りを見られるのは捕手だけ。それが好き」と笑う。2投手をリードし、打っては4安打4打点。七回コールドでチームを5年ぶりの勝利に導いた。
次戦は春の北信越大会準優勝の上田西と対戦する。「相手は関係ない。自分たちがやってきたことを出したい」と話した。(菅沼遼)