的確な指示で一矢成長を実感 新津南・小山春人主将
(11日、高校野球新潟大会2回戦 開志学園21―2新津南)
もともと人見知り。人を引っ張るタイプではない。キャプテンなんて「柄」じゃなかった。
新津南の小山春人(3年)が主将に就いたのは昨夏。「中心になって引っ張ってくれ」と引退する先輩たちからチームを託された。といっても、2年生が自分一人だったから。「うまくできるのか」。嫌な予感は的中した。
練習中、後輩たちにうまく指示できずに、用具の準備などを何でも自分でやってしまった。試合でも、自らの守備に集中しすぎてしまい、チーム全体に目を配れなかった。昨秋の県大会は3―13の六回コールドで初戦敗退した。
そんな姿勢が変わったのはこの春。冬に新型コロナウイルスの感染が再拡大し、満足な練習ができなかった。「最後の夏なのに。このままじゃ勝てない」
主将であることから逃げていたのかもしれない。ためらわず指示を出す。そう覚悟を決めた。
そして迎えた今大会の初戦。
四回裏、無死満塁の好機だった。5番打者の放った打球が相手守備の悪送球を誘った。「ホームを狙え」。三塁へ駆けてきた二塁走者に、コーチズボックスから叫んだ。2者目も生還。一方的な展開に、自らの的確な指示で一矢を報いた。
守備ではゴロをはじいて失策し、打っても3打数無安打と1番打者の役割を果たせなかった。それでも、主将としては成長を実感できた。
「野球は一人ではできない。全員で団結していい方向に進めるようにしてほしい」。先輩から託されたチームを2年生に引き継ぐ。ほんの少し、肩が軽くなる感じがした。(友永翔大)