明桜、金足農に零封勝利 相手揺さぶる積極走塁「ずっと鍛えてきた」
(11日、高校野球秋田大会 明桜6-0金足農)
周辺視野を意識して、状況を広く見る。出塁した明桜の選手たちは、じりじりとリードを取って果敢にスタートを切った。機動力が、金足農を揺さぶった。
一回1死一、二塁。ワンバウンドの投球を捕手がはじくと、すかさず二、三塁へ(記録は暴投)。再びワンバウンドの投球がバックネット前まで転がると(同)、三塁走者の生還に続いて二塁走者も本塁を突いてタッチアウトに。
それでもチームの雰囲気は少しも悪くならなかった。切り込み役の吉野鈴之助選手(2年)が説明する。「塁に出たら走る。相手が嫌がるように」。その言葉通り、三回以降も盗塁など積極走塁を生かし、小刻みに加点していった。
金足農の半田嘉那斗投手(3年)が、悔しげに心の揺れを振り返る。「足がプレッシャーになってバッテリー間のミスが出た」。力のある速球が持ち味なのに、フォームが縮こまってリズムに乗れなかった。
大会序盤の山場を越えた明桜の輿石重弘監督は、「走塁面は、ずっと鍛えてきたから」。そう言いながらも「六回に本塁突入をちゅうちょし、タッチアウトになった場面もあった」と反省を忘れなかった。(志賀英樹)
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紫に染まった金足農のスタンド。3600羽の折り鶴で作った「矜持(きょうじ)」の文字が最上段で揺れていた。
昨夏の大会で負けてから、松江紅葉さん(3年)らマネジャー7人で折ってきた。言葉は毎年、主将が考える。「プライドを高く持って、1球1球を大切に」との意味を込めた。
スタンドの一番上に飾ったのは、「チームが全国で一番上に立てるように」との願いからだ。この日の相手は強豪の明桜だが、「絶対に勝ちます」と松江さん。「『矜持』の文字がグラウンドからも見えるといいな」と笑った。(北上田剛)