2年連続の開幕戦でも緊張なし 抽選会後に届いたメッセージ胸に
(9日、高校野球新潟大会1回戦 見附10―0正徳館・栃尾)
2年連続の開幕試合。不思議と緊張はなかった。
絶対捕る――。正徳館・栃尾の主将で二塁手の斎藤飛玖(はく)(3年、栃尾)はライナー性の打球に夢中で飛びついた。「アウト!」。審判の声とともにスタンドから歓声と拍手が湧いた。球はグラブに収まっていた。
三回表2死二塁。すでに4点のリードを許しており、さらに失点すれば試合の流れが決まりかねない場面だった。
一回には、先頭打者が倒れた直後の打席で出塁した。記録上は敵失となったが、最後まで全力で走った結果だった。「諦めなくてよかった」
昨年は1―10で七回コールド負けを喫した。「先輩を引退させてはいけない」と強く思いすぎ、緊張で体が硬くなっていた。だからこそ、今年は「先輩ができなかった一勝をつかむ」。チームを引っ張る主将としても、気を引き締めて臨んだ。
昨年の主将だった先輩からのメッセージが頭の中にあった。「見附に勝てよ」。先月の抽選会後に届いた。「先輩に恥じないプレーをする」と誓った。この日も見に来てくれていたという。
結果は0―10の5回コールド負けだった。「失策と連係ミスが多すぎた」と振り返る。悔いはないかと質問すると、伏し目がちに数秒間押し黙った後、「できる限りやりました」。ちょっぴり悔しさの残る、でも、すがすがしい表情に見えた。(友永翔大)