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長野日大、欠かせない2人の「引退」選手 「チームのために頑張る」

2022年7月8日13時49分

朝日新聞DIGITAL

 昨年準優勝の長野日大(長野市)には、欠かせない2人の「引退」選手がいる。マネジャー兼記録員と打撃投手。選手ではなく、裏方という立場からそれぞれチームを支え、2009年以来となる県大会制覇を目指す。

 試合後、監督の話が終わると、山崎野生(のぶ)(3年)が円陣の真ん中に入っていき、この日の試合での反省点を話し始める。選手たちは、その内容を真剣に聞く。山崎は選手ではなく、マネジャーだ。

 「主将になっても自然なくらい。頭が良いし、よく周りを見ている」と松橋将之監督(41)は全幅の信頼を置く。

 もとは二塁手だ。春、練習で滑り込んだ時、手首を骨折。「何で今なんだ」。県大会が迫り、メンバー争いは正念場を迎えていた。もともとベンチに入れるかどうかも分からない。絶望的な出来事だった。

 松橋監督が声をかけた。「今のチームにはまとめるヤツが必要だ」。サポート役のマネジャーをやってみないかと提案した。

 ベンチ入りできる保証はなく、選手として続けていけるか不安もあった。監督の言葉で吹っ切れた。「監督に言われたら、やりたいなと」。翌日、監督から「頼むぞ」と託された。選手としての引退が決まったが、チームのためと前を向くことにした。

 長野大会では記録員としてベンチ入りする予定だ。スコアを付けることだけが仕事ではない。試合前に選手と決めたことを、プレーできているか確認することも大切だ。スコアブックとは別に用意したノートにはメモがびっしり。「狙い球を打てている」「チャンスなのに2ボールから振れない」。反省は練習に生かされる。

 最近は選手たちから「どのタイミングでスタートを切ればいいのか」など、助言を求められることが増えた。「必要とされてるのかな」。チームに貢献できていることへの満足感が表情に浮かんでいた。

     ◇

 最速136キロの打撃投手、枦山(はしやま)裕音(ひろと)(3年)の登板機会はほぼ毎日訪れる。打者にとっては練習だが、枦山には「試合」、真剣勝負そのものだ。

 「練習試合で結果が出れば、メンバーに入れますか」。5月、枦山は松橋監督に直談判した。どこかで踏ん切りをつけたかった。だが、その可能性は無さそうだった。

 「やっぱりそうだよな」。正直、厳しいと思っていた。1年生のとき、思うように体が動かなくなる「イップス」になった。捕手には投げられるが、打球処理や牽制(けんせい)ができない。球をリリースしようとすると、体が止まってしまう。

 もともと「狙ったところに行かない違和感があると、気にして考えてしまう」性格だった。できないことが徐々に増えていった。朝の自主練習では投げられたのに、夕方の全体練習ではまた元に戻る。そんな繰り返し。練習の邪魔になっていないか、気にするようになった。「使いにくい選手だとは、何となく分かっていました」

 監督への「直談判」ではこうも訴えた。「打撃投手で毎日投げます」。チームに貢献したかった。

 打撃投手としての日々が始まった。打者に向かって投げることは真剣勝負。とにかく目の前の打者を抑えるために全力で投げる。球数も気にしない。「勝負が楽しい。良い当たりをされたら、普通に落ち込みます」と笑う。

 「チームのために頑張ると決めた。試合で相手投手の球が打ちやすくなればいい」。自分が投げることがチームの勝利につながる、そう信じている。=敬称略(高億翔)

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