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奇跡のバックホームで日本一 松山商に帰ってきた名将の「化学反応」

2022年7月7日11時32分

朝日新聞DIGITAL

 第104回全国高校野球選手権愛媛大会(朝日新聞社、愛媛県高校野球連盟主催)が、7日開幕した。夏の甲子園で優勝5回を誇る松山商(愛媛)に今春、「奇跡のバックホーム」で全国制覇した沢田勝彦・元監督(65)が指導者として戻ってきた。12年ぶりだ。2001年夏を最後に甲子園から遠ざかる名門の復活を期す。

 「もうちょっと重心を低く」「空振り、ファウルを恐れるな」――。なじみ深いえんじ色の「M」マークの帽子をかぶった沢田さんが、バッティングをする主力選手に声をかける。毎日グラウンドに出て、身ぶり手ぶりで精力的に個別指導している。

 沢田さんは、1980年に母校・松山商のコーチに就任。88年に監督に就くと、夏4回と春2回、甲子園に導いた。

 96年夏は決勝に進み、熊本工と対戦。3―3で迎えた十回裏、1死満塁のサヨナラ負けの危機に右翼手を代えると、直後にフライがそのライトへ。捕球後、山なりの送球がノーバウンドで捕手に届き、タッチアップした三塁走者を刺して、併殺で危機を脱した。十一回表に3点を勝ち越して優勝し、「奇跡のバックホーム」として球史に刻まれる試合になった。最後の甲子園出場になっている01年夏もベスト4に勝ち進んだ。

 松山商を10年春に離れ、異動先でも野球部を率いたが、甲子園出場は果たせなかった。昨年度末に教員の再任用期限を迎えて退職。松山商の野球部OB会顧問として指導に加わった。

 沢田さんを招いたのは、20年春から松山商を率いる大野康哉監督(50)。母校の今治西を甲子園に春夏11回導いた実績を持つ。松山商も着実に力を付け、今春の愛媛県大会を17年ぶりに制した。さらなる飛躍を求め、尊敬する沢田さんに退職のタイミングで要請した。「自分と見るところが違う。新たな化学反応が起きて、大きく伸びる選手が出てきて欲しい」と話す。大野監督の手腕を評価する沢田さんも「監督自身の頼みなら」と快諾した。

 笑顔を交え、選手に諭すように語りかける。かつてベンチで厳しい表情を崩さず、「鬼」とも呼ばれた面影は感じられない。時に怒声を張り上げる大野監督と対照的だ。

 「全責任を負う監督に比べて気楽だから」と笑い、2人の関係を「監督はピッチャー、私がキャッチャー」とバッテリーに例える。「『岡目八目』もあるし、孤独な監督の精神的なオアシスになりたい」とバックアップに徹している。

 現役部員にとっては、日本一も甲子園出場も生まれる前のこと。西岡龍樹主将(3年)は「すごい人だと知ってはいた。気持ちを込めてバッティングを教えてもらい、タイミングの取り方がよくなってきたと思う」と感謝する。

 「沢田効果」は、グラウンド外にも及んでいる。

 沢田さんのあとの監督は松山商以外の出身者が続き、練習や試合を見に来るOBは少なくなっていた。数多くの教え子を抱える沢田さんの復帰はOB来訪の呼び水になっているという。沢田さんは「甲子園出場へグラウンドの内と外を一枚岩にしてもり立てていく」と力を込める。

 第1シードの松山商は、11日に初戦を迎える。沢田さんは「周りの期待は高いが、受け身にならず、挑戦者の気持ちで臨まないといけない」と話している。(三島庸孝)

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