スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

クリケット→野球部に スリランカから来た主将、定時制で仲間集めた

2022年7月6日18時20分

朝日新聞DIGITAL

 「質の高いキャッチボールをしよう」。顧問から声をかけられ、2人組でボールを投げ合う8人の選手の表情は一層真剣になった。

 6月、ある平日の午後1時。4年ぶりに神奈川大会に単独出場する相模向陽館の選手たちが練習に励んでいた。部員全員が集まることは珍しく、他校と比べ練習に参加する選手ははるかに少ないが、昨年の春には考えられなかった光景だ。

     ◇

 相模向陽館は午前と午後の部がある定時制高校で、4年間で卒業を目指す。生徒のなかには不登校やひきこもりの経験があったり、外国からの移住者で日本語が堪能でなかったり、働いていたりする人もいて、様々な背景を持ちながら自分のペースで学びを深めている。野球部の平日の練習は、午前と午後の部の間にある正午過ぎからの約1時間半のみだ。

 主将の太田モハマド・シャーデュさん(3年)は2018年にスリランカから家族で来日した。野球に似たスポーツ「クリケット」をしていたことから中学で野球部に入った。監督とは英語でコミュニケーションを取り、徐々にルールや技術を学んだという。「野球が楽しいと思った。高校でも、と思っていた」と太田さん。

 しかし高校入試は言葉の壁があった。そこで外国籍の生徒も受け入れている相模向陽館に進学。入学当初は言葉の理解が難しく、またコロナ禍で友達をつくることも簡単ではなかった。

 それでも野球部に入ると、先輩や宇野飛鳥監督、顧問と一緒に練習することで徐々に日本語が身についた。次第に部員以外の同級生とも話すようになった。

 一方で野球部はいつも部員の数に悩まされていた。太田さんが1年のころには5、6人いたが、2年では先輩と2人だけに。練習は宇野監督や顧問と太田さんでキャッチボールをした日もあった。「やめようかな」と考えたこともあるが、「野球道具を見たら頑張りたいと思った」。太田さんは「2人(きりの練習)だとやることが多くて学ぶことが多い」。宇野監督も「一対一の時間が増えると基本の動きを確認できる」と前向きに取り組んだ。

 その後、入内嶋太希さん(3年)や秋田谷勇斗さん(2年)らが入部。昨冬には部員6人まで増えた。「あと3人集まれば単独で出られる」と太田さんを中心に新入生を勧誘。今春、チームは12人になった。

     ◇

 5月上旬。大会出場についてミーティングで話し合った。単独で出るか、連合で出るか。

 宇野監督は単独出場について「簡単じゃないぞ」とあえて伝えた。軽音楽部やバスケ部と兼部している部員がいたり、けがや病気で試合当日に9人そろわない可能性もある。しかし選手たちは「単独」を選んだ。マネジャーの西田彩乃さん(2年)は「せっかくのチャンスですから」と選択の理由を語った。

 今大会の目標は「夏、単独チーム1勝」。太田さんは「話し合いの最初は勝ちたいだけだったけど、やっぱり学校の名前が(単独で)出たら格好いいと思う」と笑顔を見せた。

 5年ぶりの単独勝利を目指し、今日も白球を追いかける。(土居恭子)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ