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背番号から見える球児の強み 「10」もレギュラー?求められる役割

2022年7月6日15時26分

朝日新聞DIGITAL

 「背番号10は、補欠ではない。10人目のレギュラーだ」

 2番手投手が背負うことが多い番号だが、匝瑳(千葉県匝瑳市)の越川恭伸監督(58)は毎夏、その「10」に三塁コーチャーを任せてきた。

 きわどい場面で、走者を本塁にかえすか、三塁にとどめるか。「とっさの判断が必要な大事なポジションだから」。ただ、越川監督がこだわるのには、それ以上の理由がある。

   □   □

 6月末の練習後、江口柾(まさき、2年)は1人だけ、バックネット裏のベンチに呼び出された。

 大学野球では、チームの雰囲気を良くする主将が「10」をつける。そんな話の後で、こう言われた。

 「ムードメーカーとしての役割に期待している。『10』を与える」

 「まさか自分に来るとは思わなかった」。その重大さに驚いた。

 初めて三塁コーチャーを務めたのは、春の大会後だった。だが、チームを盛り上げるために何を言えばいいのか、戸惑った。

 そこで、思い起こしたことがある。既に卒業した2学年上の先輩が自分にくれたアドバイスだ。

 「腰が高いから、グラブと地面の間にすき間ができている」。一塁手を務めていた高校1年の時、ショートバウンドの送球を後逸したのを見た先輩にかけられた言葉だ。

 「自分では腰を下げているつもりでも、意識と動きがずれていた」。ミスの原因を先輩が明らかにしてくれた。わかっているつもりでわかっていないことがある――それを思い出し、江口の声かけは変わった。

 背番号10を告げられた翌日、三塁コーチスボックスにいる江口の太い声が、実戦形式の練習中に響いた。

 「力みすぎるなー。楽に、楽に、楽に」

 「遠藤さん、当てるだけはなし。しっかり振って」

 「倖誠(こうせい)、伸び上がらない。しっかり体重のせて!」

 その具体的な指示は、越川監督が各選手に指導するのを盗み聞きして頭に落とし込んだものだ。選手によって、一球ごとに、そのとき必要なことを考え、全体に響く声で言う。

 腕を回すか、回さないか、走塁判断も難しい。「一瞬の判断で1点か0点かが分かれる」。だからこそ、試合前の相手校のシートノックをしっかりと見るようになった。それまでは何となく「うまいなー」と見ていたが、いまは外野手の肩の強さや捕球体勢に隙がないか、目をこらす。

 チームの走塁は着実に向上している。主将の松本圭介(3年)は「積極的に走って、相手にプレッシャーをかけられるようになった」と話す。「(江口は)いつも笑顔でいるから、見ていると自然と笑顔になる」

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 背番号を通して、自分を見つめ直してほしい。それが選手たちに対する越川監督の思いだ。

 走攻守だけでなく、チームの雰囲気づくりや視野の広さを総合的に評価して1番から20番までを決めると伝えてきた。「なぜ、その番号なのか。戦う前に自分の強みを知り、役割を考えてほしい」

 三塁コーチャーは、越川監督が自立・自律を最も期待するポジションだ。できないことを自ら発見し、改める姿勢を求める。

 江口にはしっかりと伝わったようだ。「10」が決まってから、新たに始めたことがある。「どんな声をかけてほしい?」。チームメート一人ひとりに聞き始めたのだ。「まずは1勝。3年生を上に押し上げたい」

=敬称略(上保晃平)

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