スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

校歌流れよぎる「自分のせいで」 近江に敗れた日大東北の最後の打者

2022年7月5日19時00分

朝日新聞DIGITAL

 昨夏、18年ぶりに甲子園に出場した日大東北。初戦で近江(滋賀)に2―8で敗れた。この試合で最後の打者となったのは、当時2年生の奈須優翔だった。

 「三振に倒れた瞬間は頭の中が真っ白になった。相手校の校歌を聞いている間、自分のせいで負けたんだと気づいた」

 大会後、チームは1週間の自宅待機をへて、練習を再開した。その初日、新チーム発足と同時に監督に就いた吉田翔(35)は奈須を呼び止めた。「甲子園に出た以上、何番を打とうが、福島県内の高校からは今まで以上に警戒されるぞ」

 吉田自らも日大東北2年の夏、4番一塁手として甲子園に出た経験がある。初戦敗退が決まった瞬間を次打者席で迎えた。

 その後、秋に新チームが発足すると、厳しいマークに苦しんだ。相手投手はきわどいコースを突き、外野手はフェンスギリギリに守っていた。「打てない時期が続き、もがき苦しんだこともあった」と振り返る。だからこそ、奈須に自身の経験を伝えた。

   ◎   ◎

 奈須は3歳年上の兄の影響でソフトボールを始め、中学では父が立ち上げた軟式野球のスポーツ少年団に入った。中学3年の夏には県の大会で優勝した。

 日大東北を進学先に選んだのは、「甲子園に一番近いところだから」。1年の秋に早くも試合に出始めると、昨夏は正捕手として大会に臨み、3割超の打率で優勝に貢献した。

 甲子園の近江戦でも、適時三塁打を放つなど活躍した。しかし、全国の舞台で感じたのは、手応えよりも力の差だった。「甲子園に出てくるチームは、パワーもスピードもすべてが自分たちと違っていた」

 間もなく発足した新チームは壁にぶつかる。秋の県大会は準々決勝で、今春は2回戦で、いずれも敗れてしまったのだ。

 奈須自身も、昨秋の県大会中に腰痛に悩まされた。大会後に椎間板ヘルニアと診断され、上半身中心の練習しかできず、一時は日常生活にも苦労したという。捕手でなく、三塁手で試合に出ることもあった。

 今春は練習試合で打てない時期が続いた。左ひざに死球を受けて以来、内角を気にするあまり、「ストライクゾーンがわからなくなった」と奈須は言う。厳しいコースを攻められ、甘い球を捉えきれない日々が続いた。グラウンドで涙を流したこともあった。

 春の県大会前の練習試合で、奈須は「厳しいコースが来るのはしょうがない。積極的に振りにいこう」と意識を改めた。すると、プロ注目の右腕から長打を放つなど調子が上向いた。

 吉田は奈須について、「甲子園で最後の打者になった経験があるからこそ、妥協せず、誰よりも取り組んできた。あの経験があったから今があると言えるのではないか」と評する。

   ◎   ◎

 王者として臨む最後の夏は、ノーシードからの戦いとなる。「連覇に挑戦できるのは日大東北だけ。連覇しないといけない」と奈須は意気込む。1年間苦しんだ王者が、悔しさを晴らす舞台に挑む。=敬称略

    ◇

 第104回全国高校野球選手権福島大会(朝日新聞社、福島県高校野球連盟主催)が7月9日に開幕する。2年の夏に最後の打者となった球児や保護者らは1年間どう向き合ってきたのか。その姿を描きます。(滝口信之)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ