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「野球続けたい、やるねん!」 学校唯一の女子選手、揺るがない意思

2022年7月4日13時41分

朝日新聞DIGITAL

 【奈良】公式戦には出られない、規定上も、実力でも。奈良女大付(奈良市)で唯一の女子選手、福井希野(きの)(1年)にとって、レギュラーの座は誰よりも遠い。承知の上だ。後期(高校)進級にともない、「とにかく野球を続けたい、やるねん!」と野球部の門をたたいた。

 福井は祖父も2学年下の弟も野球をする家族で育ち、小さな頃からボールに触れていた。弟がプレーする姿を見て「楽しそうだな」と、小学生のときから野球へのあこがれを抱いていた。

 学園祭で自由な校風を感じたことが決め手となって奈良女子大学付属中等教育学校に入学。軟式野球部に入った。同学年に女子は自分1人だけ。あこがれの野球生活はそんな環境で始まった。

 朝の練習には毎日、参加した。午前7時35分の練習開始に間に合うよう、大阪府交野市の自宅を出るのは午前6時。朝練ではティーバッティングや外野ノックに取り組んだ。

 中学の軟式野球部では女子も試合に出場できる。だが、同学年で1人だけレギュラー入りできず、3年の引退試合にも出ることができなかった。「試合に出たいという思いで暇さえあれば素振りしていました」。一生懸命に打ち込んだ部活は楽しかったが、悔しさも残った。

 中高一貫の同校では前期(中学)3年の7月末が引退のタイミングで、後期(高校)の部活に移行する。中学時代に悔しい思いを味わった分「ここで辞めたらあの努力はなんやったんや」「技術も未熟で中途半端になる」。そんな思いから奈良女大付の硬式野球部への入部を決めた。

 男子とプレーする硬式野球部では日本高校野球連盟の規定により、女子選手が公式戦に出場することができない。試合に出られない状況で部活を続けることに対し、両親からは「何を目標にするんだ」と反対されたこともあった。

 だが、野球を続ける意志は揺るがなかった。

 中学生の時から同じ仲間と続けてきた野球。調子が悪いときには誰かが自分を助けてくれて、逆に自分が仲間を助けることもある。そんなチームプレーに野球の魅力を感じる。他の人のヒットや良いプレーを見るのも楽しい。

 奈良女大付の練習ではウェートトレーニングなどを除き、男子部員と同じメニューに取り組む。現在は打撃と走塁が課題で、速い球や変化球への対応力を磨いている。

 外野の福井は、捕れるか捕れないかの「『きわきわの球』を捕れたときのうれしさがたまらないんです」と守備の醍醐(だいご)味を笑顔で話す。

 一方、不安を感じることもある。「バッティングとかノックとか、試合に出られるみんなが、自分の時間の分まで練習した方がいいのでは。ここにいていいのかな」

 うまくなりたい。後輩やチームのために何か残したい。

 練習試合ではまだヒットがでていない。いまはヒットや犠打でチームに貢献することを目標にしている。「監督も熱心に指導してくれて、自分には十分な環境。このチームで野球がやりたいんです」

 監督の山口琢士は、「ベンチ入りはできないが、ユニホームを着てグラウンドに立ってほしい」との思いから県高野連に相談。福井は今夏の奈良大会で「ボールボーイ」を務める予定になっている。メンバーの近くで熱い夏に臨む。=敬称略(浅田朋範)

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